2020年09月03日

事業再評価で「東京外環道事業費7600億円増」!? 外環ネットは「事業中止と残事業費のコロナ禍施策へ」を国交大臣に要請

 7月30日に開催された国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会において、東京外環道に関する再評価の対応方針(原案)は、了承を得られず、審議は次回に先送りされました。

 その再評価の対応方針(原案)は、事業費7600億円積み増し、費用便益比 1.01、供用開始年度が2031(令和13)年に11年延長(その背景には危険な工事がある)という大変問題の多い内容のものでした。

 外環ネットは、これを受けて、国土交通大臣宛に2020年8月20日付で「東京外環道事業の中止を強く求める」要請文書を送付し、東京外環事業の中止を強く要請するとともに、追加となった7600億円のみならず、残事業費のすべてをコロナ禍に対する施策として活用することを要請しました。
 以下はその要請文書です。

----------------------------------------------------

2020年8月20日

国土交通大臣 赤羽 一嘉 様
外環ネット

東京外環道事業の中止を強く求めます

[要請内容]
 税金の無駄遣いである東京外環道工事を直ちに中止し、今後執行する予定の事業費を新型コロナ対策に回すことを要請する。


[要請理由]
 国土交通省関東地方整備局は、7月30日に事業評価委員会を開催し、東京外環道に関しては再評価の対応方針(原案)を提出したものの、了承を得られず、審議は次回に先送りされた。

 国交省の今回の対応方針は、次の3点においてこれまでと大きく変質している。大深度法の前提「地上部に影響を与えない」との前提が崩壊していること(以下の4.に詳述)と併せ、東京外環道事業を中止すべき内容となっている。以下、主な要請理由を述べる。

1.事業費が7600億円積み増されたこと
 2016年の再評価時、3,155億円の追加があった。今回はさらに巨額の7,600億円の追加である。これで事業費は23,575億円となり、当初の12,820億円の1.8倍になっている。当初の工法、工期、事業費見積がリアリティのない、仮想のものであったことが明らかになった。

 わたしたちが東京地裁の法廷で指摘した事実、費用も工期も定かでないまま事業の認可・承認をした事実が、今回の再評価で明らかになった。いまや都市計画法違反であることは、だれの目にも確かである。違法事業は、中止しなければならない。

2.費用便益比が 1.01になったこと
 費用の増大に伴い、当初2.3であった費用便益比は、2016年に1.9に下がり、今回さらに1.01にまで低下した。費用便益比が1以上であることが、事業化への目安とされているが、今後、青梅街道ICの地中拡幅部(2か所)が加わると、1を割り込むことはまぬかれず、事業の必要性は失われる。

 人口減少の進展が不可避な日本社会が直面している、いわゆる「ウィズコロナ」社会の生き方を考えれば、東京を中心とする3大都市圏に人口を集中させることは見直すべきである。高速道路によって都市内・都市間交通の効率化を図るより、地方への人口・産業の分散・活性化こそ推進されるべきである。
 いまさら、災害時の緊急輸送路などという理由を掲げるのは、不要・不急事業を無理やり延命させるものでしかない。税金の無駄遣いを率直に認め、将来世代に負の遺産となる事業は直ちに中止すべきである。

3.供用開始年度が2031(令和13)年に延長されたこととその背景にある危険な工事
 2016年の再評価時まで、供用は2020年度であった。元々現実離れの事業施行期間の破綻が明らかになり、11年延長され2031年度としている(さらに先になる可能性はある)。このことも、事業費の増額に少なからぬ影響を及ぼしている。

 そして、約10年の工事延長は、それだけ危険な工事(トンネル施工等検討委員会の「世界最大級の難工事」)であることをも意味している。これまで、誰も試していない巨大真円構造の地中拡幅部を、土水圧の高い、地下水脈が豊かな地層に建設する。加えて、横連絡坑という避難通路も危険な地中工事となる。東京外環では、これまでに「想定外」のことが何度も起きている(後述)。

 地上の住民は、この危険な工事を自宅或いはその周辺地下で実施されることによる陥没等の恐怖を感じている。地上の住民をモルモットにし、その生命、財産に悪影響を与えるような工事は、即刻中止すべきである。

4.大深度法は、「想定外」の事実により既に破綻している
 2018年、東名北工事の初期掘進において、東名JCT用地に地中から地下水が噴出し、隣接する野川ではジャクジーの様な気泡が激しく川面を騒がせる「想定外」の事故が発生した。そして、その気泡は1.5%から6.4%という酸素欠乏状態にある空気であり、厚労省によれば一呼吸で即死するレベルのものであった。

 この酸欠空気が、事業地の上部にある家屋、井戸などに滞留しなかったことは、不幸中の幸いであった。「掘削工事で使った空気が、一部地上に漏れた」というのが事業者の見解であり、漏気を抑制するための実験を屋内実験室と大泉の現場の2カ所で実施した結果、「空気を使う工法では、地中の孔などがあれば漏気は起こりうる」ことを認めた。そして驚くことに、漏気があっても気泡シールド工法はやめないと決めたのである。

 東名北工事では、2020年3月に谷戸橋傍らから気泡シールド工法に切り替え、野川沿いをシールドマシンが進み始めたところ、気泡が野川に次々と噴出し、約800m上流の神代団地51号棟前付近まで、さまざまな場所で発生している。中でも、谷戸橋では5か月以上の長期にわたって日々漏気が見られる。

 しかも、漏気の酸素濃度は、3月13日谷戸橋上流採取分で、事業者の7.3%との報告に対し、住民側の測定では1.5〜2.7%と、事業者の1/2に満たない濃度の薄さ、危険度の高さである。このような危険な空気が、地下室に、半地下車庫に、井戸に漏れ出しているのではないかと、近隣住民は緊張を強いられている。

 これらの事実により、「地上部に影響を与えない」とした大深度法の大前提が覆っている。東京外環道は、違法事業といっても過言ではない。即刻中止しなければならない。

 以上の理由から、わたしたちは東京外環事業の中止を強く要請するとともに、追加となった7600億円のみならず、残事業費のすべてをコロナ禍に対する施策として活用することを、強く要請するものである。

連絡先:省略


*****[お知らせ]*****
東京外環道の真実を伝える本を広めてください!
 「住宅の真下に巨大トンネルはいらない〜ドキュメント東京外環道の真実〜」
  丸山重威著 東京外環道訴訟を支える会編 本体1600円
  推薦:浜 矩子(同志社大学教授) あけび書房

東京外環道訴訟を支える会のブログはこちらから

posted by 外環ネット at 22:58| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース