2021年01月26日

調布陥没事故「第3の空洞発見、東京外環事業中止を求める声明」を外環ネット他12団体が3事業者と東京都に送付

 2020年10月18日に調布陥没事故を起こしたシールド機の停止位置付近で2021年1月14日に第3の空洞を確認したとNEXCO東日本が発表しました。なお、1月22日空洞の充てん作業完了と発表。別紙:(陥没付近の地中空洞位置図)。

 このことを受けて、外環ネット他12団体は、1月25日付「第3の空洞発見にあたり、外環道事業の速やかな中止を求める声明」を国土交通大臣、東京都知事、NEXCO東日本代表取締役社長及びNEXCO中日本代表取締役社長あてに送付しました。

声明文と同声明の中で引用している別紙1、別紙2の(PDF)は以下をクリック。
〇第3空洞にあたっての声明(2021年1月25日)
〇別紙1:12月18日の中間報告に対する声明(2020年12月25日)
〇別紙2:中間報告への疑問点(2021年1月25日改版)

以下は声明文です。
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2021年1月25日

第3の空洞発見にあたり、外環道路事業の速やかな中止を求める声明

外環ネット他12団体

2021年1月14日、調布市東つつじヶ丘の南行シールド機停止位置付近でのボーリング調査Hにおいて新たな空洞が発見されたとNEXCO東日本が公表しました。
 地下16mに長さ10m、幅約4m、深さ約4mの巨大なものです。3事業者(国、NEXCO東日本及びNEXCO中日本)によって進められている東京外環道事業において、昨年10月18日の巨大陥没事故以降、11月3日、21日の巨大空洞の確認に続き4箇所目の深刻な地盤異常の確認です。

しかし、被害範囲の広がりや深刻さの全貌はまだ見えていません。
 地盤沈下は今現在も進行し、家屋被害等も拡大しています。地盤の緩みはトンネル上部から地表面に向かって徐々に進んでいると思われます。
 地盤の中ほどまで緩みが確認されたボーリング調査C地点の近くでは、10月18日以降も住宅の塀の亀裂の拡大、ガス漏れ事故発生などの異変が相次いでいます。
 東側の地域でも地盤沈下による家屋の亀裂が進行しているとの報告があります。ルート上の南側の地域(12月9日のガス漏れ地点付近でボーリング調査I〜Mが行われている)でも地盤の緩みが懸念されます。まず、地盤の修復が急務です。

 また、広い範囲に振動等の被害があり、住民の健康被害(PTSD・低周波音症候群など)が今も続いています。
掘削工事は停止しているが、現在も進められているトンネル内部構築工事や稼働している機器に関する情報を事業者は開示せず、因果関係の調査に積極的ではありません。

 2020年12月25日外環沿線7区市の住民団体とそのネットワークである外環ネットは、12月18日に公表された、外環工事が陥没・空洞の一因であるとの中間報告にあたって、工事の中止・事業の見直し、大深度法の廃止、破壊された地盤の復旧を含む既に発生している被害と今後も出てくる被害の完全な賠償・補償を求めて、「東京外環・調布陥没事故中間報告に対する抗議声明」(別紙1)を出しました。

 また、同日あわせて「東京外環有識者委員会 調布陥没中間報告への疑問点」(別紙2)を出し、次のことを指摘しました。
事業者は、今回の陥没・空洞の原因を「特殊な地盤」と説明し、事前ボーリング調査の不十分さの反省がない。雑な施工・管理不足・データ不足で、「地上に影響を与えない」ことが確認されないまま施工している。大深度法、立体都市計画によって使用できる範囲を逸脱している。住民無視の対応、工事再開を急ぐ姿勢等が問題であること、です。

 沿線住民にとって最大のリスクは、地表面の住民を実験台にして、「掘ってみなければわからない」リスクのある工事を進めてきた事業者の工事優先、住民軽視の体質そのものにあると言わざるを得ません。

 トンネル工事の地表への影響・被害を懸念する住民に対し、事業者は、「地表への影響はない」、「シールド工事は安全」との「虚偽」説明を繰り返し、地権者らに、その敷地のどこをどの深さでトンネルが通るかの説明もせず、工事を進めた結果が今回の陥没事故です。

 昨年8月から振動・騒音・低周波音に対する苦情が増加しても、9月中頃に地表面に家屋等に損傷が発生しても住民の悲鳴や工事中止の訴えに耳を貸さず、工事を続行し続けました。

 既に存在する住宅地の地下に後からトンネルを掘ったにもかかわらず、「リスク・ゼロを求めるならトンネルの上に住んではいけない」(12月18日有識者委員長)との発言に唖然とするばかりです。

 2020年9月3日に開かれた国土交通省関東地方整備局事業評価監視委員会で審議された東京外かく環状道路(関越〜東名)の再評価において、次の付帯意見「B事業進捗について、定期的に関係自治体と共有するなど引き続き事業の透明性を高めること、C事業の必要性や現場で行われている事業の工夫などを社会一般に知ってもらえるよう、わかりやすい情報発信を行うこと」がつけられました。

 しかしながら、現在進められている原因究明調査の計画・経過・結果が住民に詳しく説明されないことや、報道陣を締め出し、ごく一部の地域住民に限定する、昨年11月及び本年1月の住民説明会にみられるように、「隠蔽体質」は陥没事故以降もほとんど改善されていません。

 今回の事故に至る経過を真摯に反省せず、第3者委員会による公正で徹底的な原因究明を行なわず、地表の住民の安全で安心な生活を保障する代わりに工事の実験台にし、3事業者(国、NEXCO東日本・中日本)の「集団の無責任」を決め込み、「隠蔽体質」を保持し、情報公開を徹底せず、事業の透明性を高めず、社会への説明責任を果たさず、第3者チェックの働かない、民主国家の公共事業からかけ離れた親方日の丸の事業体質のまま、工事を再開しても同様の事故を繰り返すだけであり、事業延伸などましてや許されません。

 私たちは改めて、国、東京都、NEXCO東日本、NEXCO中日本に対し外環道事業の速やかな中止を求めます。 
以上
 

申し入れ団体(順不同)
・外環ネット
・外環道検討委員会
・外環道路予定地・住民の会
・市民による外環道路問題連絡会・三鷹
・東京外環道訴訟を支える会
・野川べりの会
・東名JCT近隣住民の会
・外環道検討委員会・杉並
・外環を考える武蔵野市民の会
・調布・外環沿線住民の会
・とめよう「外環の2」ねりまの会
・元関町一丁目町会外環対策委員会
・外環いらない!世田谷の会

連絡先: 省略
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2021年01月14日

外環ネット講演会開催(1月6日)「トンネル技術者が見た事故原因と大深度安全神話の虚構」

外環ネットは、12月18日のNEXCO東日本の外環調布陥没事故についての中間報告を受けて、1月6日武蔵野市南町コミセンにおいて、大塚正幸氏(元トンネル技術者)をお招きして講演会を開催しました。

演題は「外環道トンネル工事で相次ぐ地表陥没と地下空洞―トンネル技術者が見た事故原因と大深度安全神話の虚構」。
 大塚氏によれば、「流砂」(地下水で浸潤された砂が湧水と一緒に流れ出す現象)は、一見固く締まった(今回の上総層のような)地山でも介在砂層の中で発生することがある。今回の事故で着目される上総層は、関東平野に広く厚く分布する基盤層で、決して『特殊な地層』ではない。そして、外環道路の陥没事故の原因を次のように推察する。
 「上総層の地盤は安定した地中では固く支持力があるが、空隙が生じて水で流されると緩みが進行する性質がある。砂礫層に遭遇してシールド掘進が難航する間に地山から大量の土砂を取り込み、切羽前・上部の緩みが進行した。不十分な地質調査のために、シールド機の設計が適切でなく、地山の性状に即した適切な施行管理も疎かであった。堆積層からなる都市の地下40mは、支持地盤の下にあるから安全深度であるという認識は改めなければならない。
 また、大深度の特定範囲を深さだけで一義的に決める非科学性やN値だけで評価する誤りなど大深度法制の不備を指摘されました。

20210106_KanbotsuSeminar.JPG

 大塚氏に引き続き、早川芳夫氏(地理学専攻)が、中間報告のボーリング結果から、陥没・空洞周辺地域の地盤がどのように破壊されているかの分析を報告されました。
 「地層の緩みはトンネルに沿って、地表直下からトンネル直上まで広がっている可能性が大きい。少なくともBor. D A 地点から、Bor. C地点まで帯状に繫がっている。さらに、その南北方向への広がり、および東西方向の調査が必要。」と深さ方向の地盤の緩みの深刻さと、トンネルルート上(南北方向)と横(東西)方向への地盤緩み範囲の広がりの調査の必要性を指摘されました。

 コロナ禍にもかかわらず、参加者は約40名。質疑応答が活発に行われました。


 資料1「トンネル技術者が見た事故原因と大深度安全神話の虚構」ここ(PDF)
 資料2「地盤について(ボーリング結果の分析) 」ここ(PDF)
*資料は著作権があります。
 

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2021年01月04日

外環被害住民連絡会・調布が被害調査結果を公表

 2020年12月27日、外環被害住民連絡会・調布は、調布市教育会館における記者会見の席で、被害調査結果を公表しました。

集計結果によると
■ 被害軒数
● 構造物被害(家屋・外回り)= 58軒
*主な被害内容:室内(クロス)のヒビ 15件、ドア・床の傾き 19件、基礎部分の
亀裂 7件、塀・タイルの変状 17件、コンクリートのひび割れ 17件、段差の拡がり6件、
門扉の開閉不具合 5件 等

● 体感的被害(騒音・振動・低周波音等)= 102軒
*騒音・振動・低周波音等のうち、複数回答も「1」としてカウント。
*被害カテゴリー別:騒音 72件、振動 95件、低周波音 51件

資料1(集計結果)はここ(PDF)
資料2(シールドマシン停止位置)はここ(PDF)
資料3(被害者の声_自由記述)はここ(PDF)

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