なお、この声明を承認・認可権者(国土交通大臣と都知事)と三事業者(国土交通大臣、NEXCO二社の社長)に送付しました。
この、都市計画事業の事業計画の変更は、事業施行期間を10年間延伸するものです。
変更前:2014年3月28日〜2021年3月31日
変更後:2014年3月28日〜2031年3月31日
官報463号(2021.3.31) 国土交通省告示第272号
東京都公報(2021.3.31) 東京都告示第436号の2
以下は、その声明です。
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2021年4月30日
現状を抜きにした東京外環道事業の期間延長に抗議する
外環ネット
赤羽国土交通大臣と小池東京都知事が3月29日(同月31日告示)、外環道の「都市計画事業施行期間延伸」を求めた国とNEXCO2社の事業計画変更について承認・認可したことに抗議する。
2021年3月31日には終了するはずだった事業期間を、これまでの事業の進捗や生じている問題、それに対する対応策も示さないまま、あっさり10年先延ばしした。この処分は、陥没事故を初めとする現在起きている問題についての国と都の無責任な姿勢を改めて示したもので、到底認めることはできない。
そもそも外環道は、大深度地下法の成立を前提に、高架で建設するはずだった高速道路を地下に引き下ろしただけの危険な計画だった。地下40b以深とはいえ、住宅街の下を直径16bのマシンで掘削するなど、前例がない事業であり、私たちは以前からこの計画の危険性を指摘してきた。国や都は、これを承認・認可するにあたっては、安全性、周辺地盤や地上、地下水脈などへの影響、必要性、費用対効果の検討など、科学的、社会的な十分な検討と、法に基づく厳密な審査をしなければならなかった。
ところが、事業計画は極めて杜撰であり、大深度地下法が要求し、政府が決定した「基本方針」に規定された事項さえ十分守らず、事業の進め方も同様だった。その結果、地上への酸欠空気の噴出や振動・騒音・低周波音などの被害を起こした。その上昨年10月には、調布市の平穏な住宅街で陥没事故等を発生させた。さらに、破壊された地盤の補修と称して家壊し・街壊しが強要されようとしている。これは、事業対象の立体的区域外の土地(地中)や地表に影響を及ぼしていることを示しており、「認可」の範囲を超えた土地の使用に当たり、明らかに違法状態にある。国、都は、住民の生命や安全と、その生活を守るため、直ちに承認、認可を取り消し、事業を中止しなければならないはずである。
しかしながら国とNEXCO二社は、こうした現状に一切触れることなく、「用地取得交渉」の遅れと、「地質調査等の結果により設計や工法の変更等が必要」となったことを理由に、事業期間の「延伸」を申請した。これに対し、国と都とは、NEXCO二社に2014年の認可の「工事の実施においては、周辺地に対する影響を十分に配慮するとともに、工事施工の安全に万全を期すこと」との別紙条件2(5)に「『東京外環トンネル施工等検討委員会 有識者委員会』においてまとめられた再発防止対策も踏まえ、」の言葉を付け加えただけで承認・認可した。
このことは国と都が本来果たすべき監督責任を放棄したもので許せるものではない。
公共事業は「公共の利益」の実現のためのものであり、安全で公正で、住民の基本的人権を守りつつ実施されなければならない。そのために、事業の承認・認可に、事業者や事業施行期間などを明示して申請することを求めている。従って、国や都が期間延伸について承認・認可の「処分」をするためには、現時点でのあらゆる要素を考慮して検討、審査を行い、この外環道建設事業が妥当なものであるのか、法に則った正当な調査、準備、対策を講じたものであるのか、を厳密に審査すべきである。地盤が破壊された現状を踏まえれば、環境アセスからゼロベースでやりなおすべきである。
私たちは、外環道の承認・認可についての国、都のいい加減な検討、処分に抗議し、直ちにこれを取り消し、外環道建設を中止することを求めるものである。
(了)
賛同団体
・とめよう「外環の2」ねりまの会
・元関町一丁目町会外環対策委員会
・外環道検討委員会・杉並
・外環を考える武蔵野市民の会
・市民による外環道路問題連絡会・三鷹
・外環道路予定地・住民の会
・調布・外環沿線住民の会
・野川べりの会
・外環道検討委員会
・外環いらない!世田谷の会
・東名JCT近隣住民の会
・東京外環道訴訟を支える会
・東京外環道訴訟原告団・弁護団
連絡先: 外環ネット E-mail: info-gaikannet@gaikan.net
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