2025年10月19日

声明:陥没事故から5年にあたり、住民無視・人権侵害の外環道事業の中止を求める

 2020年10月18日に東京外環道工事現場の真上の調布市の住宅街で陥没事故が発生してから5年目にあたり、外環ネット、東京外環道訴訟を支える会、他12団体(計14団体)は、外環道工事中止を求める声明を発表しました。
 なお、この声明は、国土交通大臣、NEXCO東日本社長、NEXCO中日本社長、および東京都知事宛に送付します。

以下は、その声明です。
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2025年10月18日


(声明)住民無視・人権侵害の東京外かく環状道路建設事業の中止を!
調布陥没事故から5年にあたり、事業者の責任を改めて問う

外環ネット
東京外環道訴訟を支える会他12団体


5年前の2020年10月18日に発生した外環トンネル工事による陥没・空洞事故の被害は終わっていない。
しかし、被害住民の多くが陥没地域を離れ、事業者職員の多くが異動した5年の歳月は、事故の記憶を風化させつつある。
外環事業のオープンハウスや説明会では、陥没事故を実体験してもいない説明員により信ぴょう性の薄い事故原因と実効性の疑わしい再発防止対策が説明され、伝承されている。
また、陥没事故などをベースにした、住民の安全を考慮していない「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」が外環以外の工事にも適用され、同様の事故を拡散している。

陥没地域の「第1次被害」は地下トンネル工事による陥没・空洞事故と騒音・振動・低周波音による家屋損傷と健康被害である。
そして、「第2次被害」は、2022年末から開始された緩んだ地盤補修工事による約50戸の住民の立退き、住宅解体、コミュニティ破壊、環境破壊である。住宅街から人影が消え、巨大クレーンが聳え立つ工事現場に変貌した。
2年の予定の工事は2026年5月まで1年延長されたが、未だ約5割の進捗でいつ終わるかわからない。ましてや、壊された街の復興計画はどこにもない。
この間、地域住民は、多大なストレスにより「外環陥没関連障害」というべき様々な健康被害を発症し、高齢者は寿命を縮め、人生設計を狂わされている。
外環調布陥没事故から5年の今、私たちは、この大惨事をもたらした大深度地下工事の本質的な欠陥を教訓として記憶し、広く社会で共有し、次世代に伝えていかなければならない。

東京外環道は、首都圏の主要インフラとして1966年に高架方式で都市計画決定されたが、1970年に凍結。
2000年に制定された「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(「大深度法」)を適用する地下方式に変更された。
この法律は、地下40メートル以深などの条件で、地上の権利者に無断・無補償で掘削してよいという憲法29条などに違反する法律である。
工事中も完成し供用されてからも、いつ陥没などの被害が起きるかもしれないのに、住民は自分の土地の地下を掘られることを知らされず、基本的人権である平穏生活権を侵害され続ける。

調布陥没事故により、大深度法の前提である「地上に影響は及ばない」ことが虚構であることが明らかになった。
大深度法は、住民の人権侵害、財産権や平穏生活権を侵害し、住民参加の機会を奪い、事業者は住民への説明責任を果たさない。
さらに、事業者の倫理観や技術力・管理能力の向上を妨げている。
この非民主的な事業推進の結果として、独立した専門家や住民の声に耳を傾けない「特殊な事業者」を野放しにしている。
この欠陥構造は、陥没後も改善されず、事故再発の最大のリスクである。

例えば、外環ネットは事業者の情報開示、住民の安心・安全対策が不十分であるとして、最近「閉ざされたオープンハウスの運営の改善に関する再度の要請」(2025.8)、「 東京外かく環状道路の工事における地表面変位データの全面公開を要請します」(2025.9)、「緊急要請 東京外かく環状道路工事による振動・低周波音被害原因究明と対策を要請する」(2025.10)という3文書を送達したが、事業者から全く応答がない。

欠陥工法である気泡シールド工法の危険性(陥没、酸欠空気など)を根拠にした工事差止仮処分申立てにより、本線工事16.2kmの南半分が2022年2月に差し止められた。
しかし、北半分とランプトンネル、地中拡幅部工事は強行され、様々なトラブルを起こしている。
大泉本線シールド機自損事故(2022.4、地表から開削して修理)、スクリューコンベヤー破断(2024.10)。東名Hランプシールド機テールシール損傷(2023.11)、東名JCT開削部土留壁変状・地表陥没(2024.8)。
これら大小の事故に加え、安全性を高めるため真円形状に改訂したはずの東名JCTの地中拡幅部工事は、あいまいな理由で楕円形状に戻され工事開始(2025.1)。
こうした動きに、練馬区から世田谷区の沿線住民は不安を募らせ、家屋調査や酸欠気泡、地盤沈下、低周波音など地表での監視活動を行う中、2025年には低周波音被害が顕在化した(本線トンネル大泉南工事により青梅街道IC予定地域、また、中央JCT南側Bランプトンネル工事地域)。

外環工事に限らず、2024年から2025年にかけて発生した多くの地下トンネル工事の事故がシールド工法の欠陥を証明している。
広島市西区の雨水管シールドトンネル工事陥没事故(2024.9)、リニア新幹線シールド工事では、目黒川酸欠気泡噴出(2024.8)、町田市小野路町の民地に地下水と酸欠気泡噴出(2024.10)。北海道新幹線気泡シールド工事により泥水が地表に噴出(2022.11、2025.8)。
相模原市で東電のシールド工事で下水管破損(2025.8)など、近年シールド工事は事故が多発している。
日本のトンネル技術は未熟であり、「地上に影響を及ばさない」工事はできないので、住宅街の地下を掘進すべきでない。

東京外環道事業は人権侵害だけでなく、完成時期も未定の無駄で不要な公共事業の典型である。  
事業費は2025年10月の再評価資料では、5年前から更に約4050億円増え、約27,625億円。
当初の12,820億円の2.15倍。
しかも、そこには、陥没事故原因と対策についてNEXCO東日本と鹿島JVの負担割合が決まっていないとして、事故処理関連費用は含まれていない。
青梅街道IC拡幅部の工法変更の費用増加分も含まれていない。
該当区間(関越〜東名)の費用便益比B/Cは、完成年度を陥没前と同じ2030年度という実現不能な数字を用いて算定し、5年前の1.01から1.2に「偽装」されている。
そもそもいつ完成するか分からない道路のB/C予測それ自体が欺瞞であり、算定不能とすべきである。
しかも、時間短縮便益に占める関東一円の「その他道路」の効果分が約8割で、これを除けばB/Cは一挙に5分の1に下がり、1を切る。

2025年1月に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故に見られるように、いま、戦後の高度成長期に造られたインフラが老朽化し様々な問題を引き起こしている。
さらに、少子高齢化をはじめとする社会状況や国民意識の変化は、かつての重厚長大型の開発、産業政策について、その見直しと変更を求めている。
東京外環道の建設、リニア新幹線の建設、そして北陸新幹線の建設などの大型公共事業は、いずれも国家プロジェクトとして進められている過去の政策の遺物である。
日本の将来の人口減少社会を考えれば、いまこそ、こうした一部の利益を求め、巨大な負債を後世に残す政策から大きく転換して、日本国憲法が保障するすべての国民の人権を擁護し、弱者が泣き寝入りすることなく健康で文化的な生活を謳歌できる日本へと転換するときである。
私たちは調布陥没事故を教訓として、さらなる被害を繰り返す前に、東京外環道事業を直ちに中止することと大深度地下法を廃止することを、改めて求めるものである。

賛同団体(順不同)計14団体
・外環ネット
・とめよう「外環の2」ねりまの会
・元関町一丁目町会外環対策委員会
・外環道検討委員会・杉並
・外環を考える武蔵野市民の会
・市民による外環道路問題連絡会・三鷹
・外環道路予定地・住民の会
・調布・外環沿線住民の会
・野川べりの会
・外環道検討委員会
・外環いらない!世田谷の会
・東名JCT近隣住民の会
・東京外環道訴訟原告団・弁護団
・東京外環道訴訟を支える会

連絡先: 外環ネット E-mail: info-gaikannet@gaikan.net


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2025年10月11日

緊急要請「東京外かく環状道路工事による振動・低周波音被害の原因究明と対策を」

 外環ネットと地元町会は、練馬区の青梅街道IC予定地の住民に低周波音被害が発生していることについて、
(1)外環3事業者宛((写)を東京都と沿線6区市の首長宛)に10月10日付の「緊急要請 東京外かく環状道路工事による振動・低周波音被害の原因究明と対策を要請する」要請書を郵送し、緊急対応を求めました。
(2)あわせて、練馬区長ら宛に10月10日付の「東京外環道シールド工事の東京都環境確保条例違反の是正を要請します」要請書を郵送し、外環事業3者を指導するよう、要請しました。
 

 (1)以下は外環3事業者宛の緊急要請書です。
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2025年10月10日

国土交通大臣 中野洋昌 様
東日本高速道路株式会社 代表取締役社長CEO 由木文彦 様
中日本高速道路株式会社 代表取締役社長CEO兼COO 縄田 正 様
(写)東京都知事 小池百合子 様
(写)世田谷区長 保坂展人 様
(写)狛江市長  松原俊雄 様
(写)調布市長  長友貴樹 様 
(写)三鷹市長  河村 孝 様
(写)武蔵野市長 小美濃安弘 様
(写)杉並区長  岸本聡子 様
(写)練馬区長  前川耀男 様

元関町一丁目町会 外環対策委員会

外環ネット

緊急要請
東京外かく環状道路工事による振動・低周波音被害の原因究明と対策を要請する


 10月に入って、練馬区において外環工事によると思われる振動・低周波音被害に悩む住民が複数いることが分かった。

中でも一人は4月時点から振動・低周波音を感知し、頭痛、ひざ痛などに悩まされ始め、一時避難を要請し、2か月近く避難場所と自宅を往復した。
しかし、狭い部屋で過ごすストレスがひどくなり自宅に戻ることを決断。
一時避難は解決策としては不十分であった。
工事の振動・低周波音、健康被害に悩まされながらの暮らしが再開し、不安な毎日を過ごしている。
カラッキ―が通り過ぎて止まっているが、グリルドが動き続けていて、工事の度に痛みが襲ってくる。

もう一人は、同様に振動・低周波音に悩まされている。
テーブルに置いたペットボトルの液体が何時間も揺れ続けていたり、食器棚の扉がガタガタ震えたりしている。
主な症状は、耳への圧迫感、頭痛や気持ち悪さで、我慢ができなくなる。
症状が悪化するたびに、愛犬を連れて地方の宿泊施設に自主避難しているが、7月から9月にかけ延べ10泊に達している。
工事は夜間、休日に及び、眠れなくなって睡眠薬を何度も服用している。

 2人は、度々ネクスコ2社に連絡を入れ、改善を求めている。
しかし、いまだに効果はない。
 このような状態が3か月以上続いている。
これは、明らかに平穏な生活を送る権利を侵害している。
直ちに以下の通り改善を求める。


1.事業3者は、直ちに工事を止めること

2.住民の平穏な生活を乱している振動・低周波音に関する被害の訴えに、どのように対応してきたかを明らかにすること

3.滑剤の使用、掘進速度の調整、ジャッキ長の調整などを行ったのであれば、その効果はどうであったのかを明らかにすること。
  今後適用するならば、どれほどの効果が期待できるのか、その効果を数字により明らかにすること

4.振動・低周波音の発生源とその伝達経路を究明するとともに、被害のメカニズムを明らかにすること

5.原因究明にあたっては、低周波音測定器によるデータの収集を行うこと

6.原因究明に基づき、振動・低周波音被害を取り除くこと

7.上記6.が終了するまで、工事を再開しないこと

8.東京都環境確保条例を遵守すること。
  特に、工事時間は、午前8時から午後6時までの10時間とし、日曜・休日は24時間休止すること


 以上につき、2025年10月24日までに文書にて回答すること、また、この件に関して面談の場を設定よう求める。

 この件に関する問合せ先 外環ネット:e-mail info-gaikannet@gaikan.net


 (2)以下は練馬区長ら宛の要請書です。
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2025年10月10日

練馬区長    前川 耀男 様
練馬区議会議長 上野 ひろみ様 

元関町一丁目町会 外環対策委員会
外環ネット


東京外環道シールド工事の東京都環境確保条例違反の是正を要請します

 10月に入って、練馬区において外環工事によると思われる振動・低周波音被害に悩む住民が複数いることが分かりました。
 中でも一人は4月時点から振動・低周波音を感知し、頭痛、ひざ痛などに悩まされ始め、一時避難を要請し、2か月近く避難場所と自宅を往復しました。
しかし、狭い部屋で過ごすストレスがひどくなり自宅に戻ることを決断。一時避難は解決策としては不十分であることがわかりました。
工事の振動・低周波音、健康被害に悩まされながらの暮らしが再開し、不安な毎日を過ごしています。
カラッキ―は通り過ぎて止まっていますが、グリルドは動き続けていて、工事の度に痛みが襲ってくるといいます。

 もう一人は、同様に振動・低周波音に悩まされています。
テーブルに置いたペットボトルの液体が何時間も揺れ続けていたり、食器棚の扉がガタガタ震えたりしています。
主な症状は、耳への圧迫感、頭痛や気持ち悪さで、我慢ができなくなります。
症状が悪化するたびに、愛犬を連れて地方の宿泊施設に自主避難していますが、7月から9月にかけ延べ10泊に達しています。
工事は休日、夜間に及び、眠れなくなって睡眠薬を何度も服用しているとのことです。

 2人とも、何度もネクスコ2社に連絡を入れ、改善を求めていますが、いまだ効果はありません。

 このような状態が3か月以上続いています。
これは、明らかに平穏な生活を送る権利を侵害しています。

 直ちに、以下のように外環事業3者を指導するよう、要請いたします。


1.東京都環境確保条例を遵守すること

2.特に、工事時間は、午前8時から午後6時までの延べ10時間とすること

3.日曜・休日は24時間休止すること

4.住民の要求があれば、練馬区として低周波音測定機を用いた測定を実施し、結果を公表すること


以上につき、2025年10月24日までに文書にて回答するとともに、面談の場を設定するよう求めます。

この件に関する問合せ先 外環ネット:e-mail info-gaikannet@gaikan.net



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