2021年10月18日

(声明)陥没から1年!外環道事業中止と大深度法廃止を改めて訴えます。

 2020年10月18日に東京外環道工事現場の真上の調布市の住宅街で陥没事故が発生してから1年目にあたり、外環ネット他13団体は、外環道事業中止と大深度法廃止を訴える声明を発表しました。
 なお、この声明は、国土交通大臣、NEXCO東日本社長、NEXCO中日本社長、および東京都知事宛に送付します。


以下は、その声明です。
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2021年10月18日

住民の命・健康・財産・暮らしを脅かす異変は今も続いている!
住宅街陥没から1年を迎えて、東京外環道事業の中止と大深度法の廃止を改めて訴えます
      
外環ネット
東京外環道訴訟原告団・弁護団
ほか12団体


 良く晴れた日曜日の正午過ぎでした。2020年10月18日、調布市東つつじヶ丘二丁目の住宅街で、道路と住宅のガレージに突然陥没(縦横深さ約5b)が発生しました。東京外環道トンネル工事現場の真上です。その後、ルートに沿って新幹線車両がすっぽり入るほどの最大30bの3つの空洞が発見されました。周辺の住宅街一帯には、陥没が起こる2か月以上前から振動や騒音が伝わり、住宅や壁のひび割れや、低周波音による健康被害の訴えが続いていました。
 
国及び中日本、東日本の両高速道路株式会社(NEXCO)は3月、自らの調査とお手盛りの「有識者委員会」の報告に基づき、陥没や空洞が工事に起因すると認めたものの、誰が何をしているとき、何が起きたのか、から、そのとき監督者はどうしたのか、どういう対策を取ったのか、という事故の詳細も、振動伝播や地盤崩壊に至るメカニズムも、そしてそうした事態を起こしてしまった責任も、住民への避難呼びかけが行われなかったことも、全く明らかにしないままの杜撰な報告書を公表しました。

しかも、この「報告書」には、住民から寄せられた住宅・地盤などの破損、振動・騒音などの体感・健康被害についての記述は全くありません。住民無視の姿勢は明白です。事業者は、相談窓口と称する場を設けただけで、住民の被害実態調査を行ない公表することもしませんでした。
そのため住民はこの1年、約700b x200b(約千戸)の補償対象地域の被害の実相を自ら調査してきました。昨年12月の調査では、132軒の回答のうち、体感被害102軒、構造物被害58軒でした。地表の異変や低周波音被害は今も続いています。10月にはトンネル直上以外でも表層地盤にゆるみがあるとの専門家の調査結果が公表されました。住民や心ある専門家による真実を明らかにする調査活動は現在も続けられています。

 さらに事業者は、この合理性・科学性に欠ける報告書をもとに、トンネル直上約220b x 16bの範囲の住宅の取り壊しと地盤強化工事をこれまた勝手に決め、個別交渉で住民を納得させ、強行しようとしています。それは2本目のトンネルを通すためのものとしか思えません。「地上に影響ない」はずの大深度地下工事によって、なぜ家や街まで壊されなければならないのでしょうか?原因を「特殊な地盤」と「施工上の課題」に矮小化するその場しのぎの策により工事再開を急ぐのでなく、事故原因と組織全体の住民無視の隠蔽体質や責任を徹底的に明らかにすべきです。倫理観や技術力が欠如したままでは、事故を繰り返すだけです。

 7月には、住民説明会もせず、再発防止対策も決まってないのに、大泉JCT工事現場のシールドマシン2基を保全措置と称して約140m掘進開始しました。ここにも、住民無視、「安全は工事のため」の体質が現れました。

 私たちは、こうした事業者の不誠実な姿勢に抗議し、事業者によって引き起こされた事故原因の完全な究明、被害の完全な修復、賠償、将来にわたる安全の保障を求めるとともに、都市計画法や違憲の大深度法にさえ違反する、この外環道事業の中止と大深度法の廃止を求めてきました。しかし、事業者は加害者であるにもかかわらず、形だけの事故説明会に終始し、被害補償交渉では「集団での話し合いには応じない」と頑なな態度を崩しません。事業の承認認可の無効確認を求めた裁判でも、工事の危険から取り敢えずの中止を求めた仮処分申請でも、質問にはまともに答えず、言を左右にして引き延ばしを図ってきています。

 大深度法は、憲法29条の財産権を制限しながら、その補償措置を規定しておらず、憲法違反であることは極めて明確です。被害地の住民は、不安と危険の中に放置され、説明もされず、「地盤補修」という理由により、いま住んでいる家から放り出され、住宅を壊される状況にあります。これは、安全で平和的に住み続ける権利を保障した憲法25条に反するばかりか、居住、移転の自由を決めた憲法22条にも反する理不尽な行為です。民主主義を標榜する法治国家で、このような事態が許されてはなりません。現地では、1年を経て今なお、振動や低周波音による健康被害が続き、地震動の伝わり方は大きくなり、住宅や道路境界のひび割れは大きくなってきています。事故はなお続いているのです。

 住宅街の陥没、空洞の発生という、日本にこれまでなかったトンネル事故は、2兆4000億円と言われる巨額な金を使い、工事期間を10年延長し、千戸もの地域の住民を混乱に陥れるこの計画自体が、誤りであり、これまでの経過の上に、さらに誤りを重ねようとする事業者の計画自体がもはや無理であることを示しています。事業者に事業遂行能力がないことも明らかです。

 陥没事故1年を迎え、陥没被害地域の住民の被害と権利を回復し、これまでトンネルが掘られた地域、これからトンネルが掘られる地域を含めて、すべての外環道沿線住民が命や健康、財産を奪われることなく、安心して平穏に暮らすために、私たちは改めてこの事業の中止と大深度法の廃止を訴えます。
(了)


賛同団体
・とめよう「外環の2」ねりまの会
・元関町一丁目町会外環対策委員会
・外環道検討委員会・杉並
・外環を考える武蔵野市民の会
・市民による外環道路問題連絡会・三鷹
・外環道路予定地・住民の会
・調布・外環沿線住民の会
・野川べりの会
・外環道検討委員会
・外環いらない!世田谷の会
・東名JCT近隣住民の会
・東京外環道訴訟を支える会
・東京外環道訴訟原告団・弁護団

連絡先: 外環ネット E-mail: info-gaikannet@gaikan.net


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《新刊》『道路の現在と未来 ─道路全国連四十五年史』
 道路住民運動全国連絡会編著 本体2600円 緑風出版
 住民は道路事業にどう抵抗し 何を勝ち取ってきたか 道路はどうあるべきかを提言
 
東京外環道の真実を伝える本を広めてください!
 「住宅の真下に巨大トンネルはいらない〜ドキュメント東京外環道の真実〜」
  丸山重威著 東京外環道訴訟を支える会編 本体1600円
  推薦:浜 矩子(同志社大学教授) あけび書房

東京外環道訴訟を支える会のブログはこちらから

posted by 外環ネット at 17:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース
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