なお、この声明は、国土交通大臣、NEXCO東日本社長、NEXCO中日本社長、および東京都知事宛に送付します。
以下は、その声明です。
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2025年10月18日
(声明)住民無視・人権侵害の東京外かく環状道路建設事業の中止を!
調布陥没事故から5年にあたり、事業者の責任を改めて問う
外環ネット
東京外環道訴訟を支える会他12団体
5年前の2020年10月18日に発生した外環トンネル工事による陥没・空洞事故の被害は終わっていない。
しかし、被害住民の多くが陥没地域を離れ、事業者職員の多くが異動した5年の歳月は、事故の記憶を風化させつつある。
外環事業のオープンハウスや説明会では、陥没事故を実体験してもいない説明員により信ぴょう性の薄い事故原因と実効性の疑わしい再発防止対策が説明され、伝承されている。
また、陥没事故などをベースにした、住民の安全を考慮していない「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」が外環以外の工事にも適用され、同様の事故を拡散している。
陥没地域の「第1次被害」は地下トンネル工事による陥没・空洞事故と騒音・振動・低周波音による家屋損傷と健康被害である。
そして、「第2次被害」は、2022年末から開始された緩んだ地盤補修工事による約50戸の住民の立退き、住宅解体、コミュニティ破壊、環境破壊である。住宅街から人影が消え、巨大クレーンが聳え立つ工事現場に変貌した。
2年の予定の工事は2026年5月まで1年延長されたが、未だ約5割の進捗でいつ終わるかわからない。ましてや、壊された街の復興計画はどこにもない。
この間、地域住民は、多大なストレスにより「外環陥没関連障害」というべき様々な健康被害を発症し、高齢者は寿命を縮め、人生設計を狂わされている。
外環調布陥没事故から5年の今、私たちは、この大惨事をもたらした大深度地下工事の本質的な欠陥を教訓として記憶し、広く社会で共有し、次世代に伝えていかなければならない。
東京外環道は、首都圏の主要インフラとして1966年に高架方式で都市計画決定されたが、1970年に凍結。
2000年に制定された「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(「大深度法」)を適用する地下方式に変更された。
この法律は、地下40メートル以深などの条件で、地上の権利者に無断・無補償で掘削してよいという憲法29条などに違反する法律である。
工事中も完成し供用されてからも、いつ陥没などの被害が起きるかもしれないのに、住民は自分の土地の地下を掘られることを知らされず、基本的人権である平穏生活権を侵害され続ける。
調布陥没事故により、大深度法の前提である「地上に影響は及ばない」ことが虚構であることが明らかになった。
大深度法は、住民の人権侵害、財産権や平穏生活権を侵害し、住民参加の機会を奪い、事業者は住民への説明責任を果たさない。
さらに、事業者の倫理観や技術力・管理能力の向上を妨げている。
この非民主的な事業推進の結果として、独立した専門家や住民の声に耳を傾けない「特殊な事業者」を野放しにしている。
この欠陥構造は、陥没後も改善されず、事故再発の最大のリスクである。
例えば、外環ネットは事業者の情報開示、住民の安心・安全対策が不十分であるとして、最近「閉ざされたオープンハウスの運営の改善に関する再度の要請」(2025.8)、「 東京外かく環状道路の工事における地表面変位データの全面公開を要請します」(2025.9)、「緊急要請 東京外かく環状道路工事による振動・低周波音被害原因究明と対策を要請する」(2025.10)という3文書を送達したが、事業者から全く応答がない。
欠陥工法である気泡シールド工法の危険性(陥没、酸欠空気など)を根拠にした工事差止仮処分申立てにより、本線工事16.2kmの南半分が2022年2月に差し止められた。
しかし、北半分とランプトンネル、地中拡幅部工事は強行され、様々なトラブルを起こしている。
大泉本線シールド機自損事故(2022.4、地表から開削して修理)、スクリューコンベヤー破断(2024.10)。東名Hランプシールド機テールシール損傷(2023.11)、東名JCT開削部土留壁変状・地表陥没(2024.8)。
これら大小の事故に加え、安全性を高めるため真円形状に改訂したはずの東名JCTの地中拡幅部工事は、あいまいな理由で楕円形状に戻され工事開始(2025.1)。
こうした動きに、練馬区から世田谷区の沿線住民は不安を募らせ、家屋調査や酸欠気泡、地盤沈下、低周波音など地表での監視活動を行う中、2025年には低周波音被害が顕在化した(本線トンネル大泉南工事により青梅街道IC予定地域、また、中央JCT南側Bランプトンネル工事地域)。
外環工事に限らず、2024年から2025年にかけて発生した多くの地下トンネル工事の事故がシールド工法の欠陥を証明している。
広島市西区の雨水管シールドトンネル工事陥没事故(2024.9)、リニア新幹線シールド工事では、目黒川酸欠気泡噴出(2024.8)、町田市小野路町の民地に地下水と酸欠気泡噴出(2024.10)。北海道新幹線気泡シールド工事により泥水が地表に噴出(2022.11、2025.8)。
相模原市で東電のシールド工事で下水管破損(2025.8)など、近年シールド工事は事故が多発している。
日本のトンネル技術は未熟であり、「地上に影響を及ばさない」工事はできないので、住宅街の地下を掘進すべきでない。
東京外環道事業は人権侵害だけでなく、完成時期も未定の無駄で不要な公共事業の典型である。
事業費は2025年10月の再評価資料では、5年前から更に約4050億円増え、約27,625億円。
当初の12,820億円の2.15倍。
しかも、そこには、陥没事故原因と対策についてNEXCO東日本と鹿島JVの負担割合が決まっていないとして、事故処理関連費用は含まれていない。
青梅街道IC拡幅部の工法変更の費用増加分も含まれていない。
該当区間(関越〜東名)の費用便益比B/Cは、完成年度を陥没前と同じ2030年度という実現不能な数字を用いて算定し、5年前の1.01から1.2に「偽装」されている。
そもそもいつ完成するか分からない道路のB/C予測それ自体が欺瞞であり、算定不能とすべきである。
しかも、時間短縮便益に占める関東一円の「その他道路」の効果分が約8割で、これを除けばB/Cは一挙に5分の1に下がり、1を切る。
2025年1月に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故に見られるように、いま、戦後の高度成長期に造られたインフラが老朽化し様々な問題を引き起こしている。
さらに、少子高齢化をはじめとする社会状況や国民意識の変化は、かつての重厚長大型の開発、産業政策について、その見直しと変更を求めている。
東京外環道の建設、リニア新幹線の建設、そして北陸新幹線の建設などの大型公共事業は、いずれも国家プロジェクトとして進められている過去の政策の遺物である。
日本の将来の人口減少社会を考えれば、いまこそ、こうした一部の利益を求め、巨大な負債を後世に残す政策から大きく転換して、日本国憲法が保障するすべての国民の人権を擁護し、弱者が泣き寝入りすることなく健康で文化的な生活を謳歌できる日本へと転換するときである。
私たちは調布陥没事故を教訓として、さらなる被害を繰り返す前に、東京外環道事業を直ちに中止することと大深度地下法を廃止することを、改めて求めるものである。
賛同団体(順不同)計14団体
・外環ネット
・とめよう「外環の2」ねりまの会
・元関町一丁目町会外環対策委員会
・外環道検討委員会・杉並
・外環を考える武蔵野市民の会
・市民による外環道路問題連絡会・三鷹
・外環道路予定地・住民の会
・調布・外環沿線住民の会
・野川べりの会
・外環道検討委員会
・外環いらない!世田谷の会
・東名JCT近隣住民の会
・東京外環道訴訟原告団・弁護団
・東京外環道訴訟を支える会
連絡先: 外環ネット E-mail: info-gaikannet@gaikan.net
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●東京外環道の真実を伝える本を広めてください!
「住宅の真下に巨大トンネルはいらない〜ドキュメント東京外環道の真実〜」
丸山重威著 東京外環道訴訟を支える会編 本体1600円
推薦:浜 矩子(同志社大学教授) あけび書房
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