2021年03月07日

事業者の姿勢と有識者委員会報告について私たちの見解

 外環ネット、東京外環道訴訟原告団・弁護団、他12団体は2月19日、「東京外環道の調布陥没・空洞調査報告(2021.2.12)と住民説明会(2021.2.14-15)についての声明」(別紙を含む)を公表し、「住宅街陥没!東京外環道路事業・工事の中止を求めます」署名の第1次提出行動において、赤羽一嘉国土交通大臣宛5,372筆、小池百合子東京都知事宛5,344筆の署名とあわせて、本声明を国土交通大臣および東京都知事に届けました。なお、NEXCO東日本社長及びNEXCO中日本社長宛に別途送付しました。

 以下は声明文に引用、添付されている(別紙)「事業者の姿勢と有識者委員会報告について私たちの見解」です。

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事業者の姿勢と有識者委員会報告について私たちの見解

【1】法律と民主主義からの提起

@ 工事の起因性と過失責任
今回の報告で、事業者は工事によってトンネル上部に空隙が生じ、即時に又は一定の時間をかけて順次天井が落ちて地表近くに及び、陥没や空洞を生じさせたことを認めました。

大深度地下使用認可は、人の土地の「大深度地下」に、一定の範囲で使用権を設定する行政処分です。使用権を設定する範囲は、上下左右とも添付された図面(縦断面図と平面図)によって特定されています。したがって、使用権を設定された範囲外の地下は、事業者は法的に使用権がありません。事業者は、これをどう考えるのでしょうか。

今回、トンネル上部から上の地中に影響を与えたことは、事業者が、無権限、無断で他人の所有する土地に踏み込んだことになり、それ自体が、他人の土地への違法な侵入行為です。そしてこのことは、認可条件違反にあたります。

事業者は今回の事態を「不可抗力」とか「想定外」と世論に訴えかけ、「仕方がなかったことだ」と印象づけようとしています。これはいずれも、正当化の理由にはなりません。そして、本件は「予見可能性」があったのであり、事業者は100%過失があります。

A 認可条件違反と取り消す「義務」
大深度法16条は「使用の認可の要件」として、以下のとおり規定しています。
第16条 国土交通大臣又は都道府県知事は、申請に係る事業が次に掲げる要件のすべてに該当するときは、使用の認可をすることができる。
1 事業が第4条各号に掲げるものであること。
2 事業が対象地域における大深度地下で施行されるものであること。(以下略)
さらに大深度法29条は、「使用の認可の取消し」として以下のとおり規定しています。
第29条 国土交通大臣又は都道府県知事は、認可事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、使用の認可(前条第 1 項の規定による承認を含む。以下この条において同じ。)を取り消すことができる。
1 この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反したとき。
2 施行する事業が第16条各号に掲げる要件のいずれかに該当しないこととなったとき。

今回の事態は、工事(使用)の範囲が、大深度地下以外の部分に及んでおり、形式的には、これにあたると言え、事業の「影響」が大深度地下以外の地中に及ぶような行為は、これに違反した行為です。国土交通大臣は、認可を取り消すことができます。

この「取り消すことができる」との規定は、「取消権限」があることを意味します。政府、事業者は、取り消すかどうかは、「国土交通大臣の裁量」と考えるのでしょうが、「取消の権限があり、取消事由がある」とき、国土交通大臣が取り消さないためには、それなりの理由が必要です。私たちは、建設の利益が既に失われ、住民の人権がこんなにも侵されている状況の下で、これを超えて取り消さない理由はないと考えます。国土交通省はこれを説明できるのでしょうか。

B 気泡材、掘削土量を把握できない能力不足
事業者は今回の問題が持っている法的問題をどう考えているのでしょうか。
今後の掘進については、地層がさまざま入り組んでおり、かつ水の層が幾重にもあります。地表には、いくつも池があり、川があります。特に川のある地域の地下を横断する箇所が何か所もあります。池や川の下には水を含んだ多様な地層があるのですから、シールドマシンによる掘進 は、これまでよりも難しくなることは明らかです。

今回明らかになったのは、人為的に注入する「気泡材」が土中にどれだけ入ったのか「浸入量」さえ把握できなかったことです。こうした「能力」が不足する工事担当者が、今後自然界に存在する、複雑で水も含む地層に対して、「掘削土」を正確に把握し、適切な掘削を行うことができるとは到底考えられません。今回の事故のメカニズムは、そのことを示していると思います。事業者はこの事実をどう考え、どう評価するのでしょうか。

C 何か起きたら「未必の故意」の「傷害罪」
言うまでもなく、今後工事を再開することは、人が多数居住している住宅地の地下を掘削することであり、現在の状況から言えば、「手探り」で、「実験をしながら…」、穴を掘ることです。今回、陥没が起きたとき、たまたま日曜日でその上に人が居なかっただけで、これは僥倖とも言うべきことでした。車が差し掛かっていたり、通学の子どもたちが連れ立って歩いていたら、と考えるとぞっとします。今回の工事は、その杜撰さも含めて人の財産、生命、身体に危害を与える危険性を有する行為であって、「人体実験」ということでさえあります。許されることではありません。このことについての真摯な反省は表明されないのでしょうか。

この状況のもとで、工事を再開して人の土地や建物に変状を及ぼせば、もはや「未必の故意」による「建造物損壊罪」、人身被害が生じれば「未必の故意」による「傷害罪」「傷害致死罪」と言えるのではないかと思います。または少なくと「業務上過失致死傷罪」にあたると言えます。事業者たちは、その認識をお持ちでしょうか。どう考えているのでしょうか。

D 法と道理を欠く事業の遂行
そもそも今回の事態を生じさせた、事業者の行為は、結果が発生するかどうかにかかわらず、「人の住宅の下に陥没や空洞を生じさせる危険性を有する行為」です。それ自体が、憲法上の「財 産権」「人格権(生命、身体、健康、精神)」を侵害する危険性を有する行為です。国土交通大臣 は、事業者として、かつ大深度地下使用を認可した者として、かつ都市計画事業承認をした者として、本件事業を停止すべき「責任」があると言わざるをえません。

今回の調査報告と事業者の説明には、こうした法と道理に基づいた説明が基本的に欠けています。調査、報告というならこうした問題に答える姿勢こそ求められているのではないでしょうか。


【2】事実認識と科学からの提起

1:有識者委員会の資格 ―有識者委員会の中立性の疑問
@ 有識者委員会の資格
事業者は今回、「陥没事故」の評価を「有識者委員会」に委ねたが、委員会の小泉淳委員長は、事業を推進する東京外環トンネル施工等検討委員会の委員長でもあり、この「事故」を起こした責任者の一人であることは、隠しようもない事実です。

事業者は、そのような「有識者委員会」を利用して、自己の責任を覆い隠しています。
求められるのは、事業者から独立した第三者委員会による調査分析であり、現在の有識者委員会にその資格はありません。

A 調査報告の問題点
今回発表された調査報告は、事故の内容を十分に究明しようという姿勢よりも、工事再開への世論づくりを狙ったものと言わざるを得ません。

調査に当たっては、なぜこの場所で、こういう形で何を調べるのか、その結果何がわかり何がわからなかったか、などが精査される必要があります。

また、調査報告は、振動騒音や住民の健康被害については全く触れていません
地下については、法律成立当初から、地盤の状況、地下水の問題、地震波の問題など、あらゆる問題について調査・研究が必要であり、慎重に進めるべきだといわれてきました。
私たちは今回の事故に対して、あくまで科学的で学問的な立場から、公正な調査が行われ、将来の検証にも耐える報告書が作られるべきだと考えます。

2:地盤調査について
@ ボーリング調査のありかた
調査報告は、陥没を中心にした地域に限定され、その地盤構造を解明することに終始していました。しかも、この調査は、陥没個所とトンネルを中心とした道路上に限定し、しかもその深さはトンネルの天端にまで届かない範囲のものでした。

事業者は、この際改めて、なぜ事前に不十分なボーリングしか行わなかったかについて明らかにすべきです。本来、地下を掘るには、ボーリングをはじめとする徹底した地質調査が、コース選定、工事方法の検討にあたっておこなわれなければならないはずです。

A ボーリング個所は適切だったか、それで何がわかったのか
今回の調査では、ボーリングについて、エリアを2つに分け、限定されたボーリングを実施し、そこで地層を推定し、議論を展開していますが、多くの点で疑問を持たざるをえません。

まず、「エリアA」については、事前のボーリングは 21-12 地点(この地点はトンネルから約 100mはずれている)だけとし、礫層(Hig層厚 4m)を掘削し始めた部分から設定してます。しかし、その礫層の下に存在する礫・砂互層(層厚5m)を無視しており、設定そのものに問題があります。

また、陥没地点を含む東つつじヶ丘の地盤は、武蔵野V面(中台面)で、ここから、武蔵野T・U面に向かって約15mトンネルが上昇するルートになっていますが、この垂直方向へのカーブの問題にはまったく触れていません。直径16mの巨大シールドマシンにとっては、カーブは「大敵」だと考えますが、説明がありません。

報告では「陥没地点は、人工的に掘削され埋め戻した場所で硬質のロームが存在していないから陥没した」と断定していますが、この付近の台地上では、上から、埋土・立川ローム・武蔵野Vローム(中台ローム)、武蔵野V礫層、東久留米層、の層序となっています。関東ローム層は、富士山などの火山灰が堆積したもので、この付近では1万年に約1m堆積しており、時代によって粘土質の多い層もあります。しかし、N値10以下程度の単なる土です。空洞の上のローム層と陥没地点のローム層はどう違っているのでしょうか。一方で陥没が起きている以上、空洞が陥没しない保証はありません。

報告は、「緩み」がトンネル切羽からその真上に拡大したとし、周辺部への広がりを否定していますが、果たしてそれでよいのでしょうか。「調査ボーリング(以下 No.)No.K地点から北側以外では空洞、緩みはない」と断定していますが、No.L地点付近ではガス漏れ、No.M地点のボー リングでは、武蔵野礫層(Mg層)直下で地層の緩みが確認されています。このメカニズムを解明すべきです。

3:「地盤の緩み」について
調査結果では、縦断方向について「ボーリング No.C地点〜No.H地点までの区間で、地盤の緩みは確認されました。No.C〜H地点以外では地盤の緩みは確認されていません」とし、一方、トンネルの横断方向では陥没個所の No.@地点でしか調査していません。また、トンネルから東側のボーリング No.E地点、西側の No.F地点では緩みがないことを確認したとし、「微動アレイ調査」で、空洞 1,空洞 2 地点で地盤が緩んでいる可能性を確認したとしています。

「地盤の緩み」は、当然、工事に起因するものですが、調査報告にはこれにどう対処するのか「対処方針」がありませんし、この状況の中で、調査した場所以外に同様の場所がある可能性について、一切触れていません。この周辺だけでなく、全線に渡って同様の調査をし、「空洞」の発見や「陥没」の危険性を確認し、対応すべきです。

また、No.I、No.J、No.KA 地点は、ボーリング調査で緩みは確認できませんが、事業者が緩んでいないとするトンネルの左右両端の部分で行われたものです。

4:「地盤沈下」について
「地盤沈下」については、「地表面最大沈下量 19 _で収束している」としています。しかし、この東西方向の最大沈下量を結んだ中心線はトンネルルートに平行しており、また、若葉町1丁目の沖積層の部分では沈下はほとんどみられていないとしています。

自然沈下がないはずの関東ローム層堆積地で沈下しているのは、明らかに工事の影響によるものですし、3カ月間での沈下量 19 _は、年換算では約 80 _にもなります。この沈下量は極めて大きいと考えます。これで「収束した」と断定できる根拠は一切示されていません。

さらに、昨年 12 月 18 日、日本経済新聞が報じた衛星観測による「地盤沈下」について事業者はどういう評価をされるのでしょうか。報道ではシールド機が通過した直後、その周辺で最大3aの地盤沈下が起きていることが明らかになった、とされています。必要な追跡調査をし、的確な対策が取られなければ、住民の安全・安心は確保されません。事業者にはそれを明らかにする責任があります。

地盤沈下に密接に関わるのは、言うまでもなく地下水です。地下水の流れは、陥没した礫層の下方にしみ込んでいる可能性もありますが、調査報告はこれに一切触れていません。

このほか、空洞 No.1 地点の土砂と入間川護岸の堆積土砂の成分の違いについて、その意味を説明するべきです。また、空洞No.3 地点の地下水から界面活性剤成分が検出されていますが、これは明らかに工事の影響です。気泡とともに上部に上昇したことが想定されますが、事業者側は関
連の可能性すら明言していません。

また、「エリアB」については、トンネル掘進部の礫層の存在で決めていますが、その下部の 砂・礫互層についてどう考えるのでしょうか。この地域では「最大沈下量6_で収束した」と断定していますが根拠はありません。この地域については、地下2bしか調べられない物理探査と微動アレイ探査の結果だけで地盤の緩みも空洞もないと断定しましたが、これで良いのでしょうか。調査ボーリングを行うべきです。

5:陥没、空洞はなぜできたか
調査報告は、陥没について「特殊な地盤条件である陥没箇所付近では夜間の作業休止後、カッターが回転不能になる事象が発生」し、これは8月以降16回におよんだとしています。その際、「地山の緩みが発生」、「掘進再開後も気泡材がこの地山の緩みに浸透し、このことに気がつかず過剰に土砂を取り込み、地山の緩みが拡大した」と推定しています。

しかし、問題はこの状況をすべて「特殊な地盤条件」のせいにし、こうした作業に当たって、地盤の点検、さらに土砂の取り込み、気泡材の量、作業手順等が妥当でなかったために起きた「作業ミス」であることを認めていないことです。事前にどのような調査を行ったのか、あるいは、なぜ行わなかったのか、明らかにすべきです。

さらに、調査報告は陥没を起こした地層について、「特殊な地盤条件にある」としていますが、均質な砂層である東久留米層は、関東地方に広く広がる上総層で、トンネル掘削時に陥没事故を何度も起こしている地層でもあります。それを知らなかったとすれば、素人が勝手に地面を掘っているということになるでしょう。事故を起こしたことを糊塗するために「特殊」と主張していますが、特殊でも何でもない地層です。あえていえば、「特殊だから」事故が起きたのなら、この事業者にはトンネル工事をやる資格も、技術もないこととなります。

また、問題なのは、この地域では、事前にボーリングをした資料がほとんどないことで、東久留米層内の礫層(Hig)、まして、地質断面に記載されていない礫・砂互層について、どこから始まっているかは把握されていないことです。調査報告が、事故の直接原因としている礫層についての調査が不足していたことについて言及がありません。これこそ責任をごまかすための操作としか考えられません。

しかも調査報告は「表層部が薄い」としていますが、これも当たり前のことで、意味のない指摘です。武蔵野V面は、武蔵野T面・U面に比べ、ローム層・礫層が薄いのは当然ですが、立川面よりは厚いことも知られています。またこの「特殊な区域」は京王線までとしていますが、これもきちんと「旧甲州街道付近まで」と言うべきです。

6:影響はトンネル直上だけなのか
陥没・空洞は、地山の砂・礫がマシンによって取り込まれていった結果生じたもので、陥没・空洞の部分だけが、トンネル方向に局所的に引き込まれていることになりますが、なぜここだけ取り込まれたのか、トンネル上部だけでなく、周辺の横断方向(東西方向)のデータは陥没・第2 空洞以外ほとんど示されていません。このため、地盤の緩みの立体構造は見えてこず、周辺がどんな危険な状態になっているのかわかりません。トンネル上部だけの補修で済まそうとの発想からの未検討なのでしょうか。「緩んでいるのは陥没・空洞部分の直下だけ」と言いたいのでしょうか、不思議です。また、ボーリング No.C地点の上方のN値データを示さず、緩みはないとしているのはなぜでしょうか。


7:再発防止に向けての姿勢
調査報告は、地盤の緩みの範囲をことさら特定し、2639 リング〜2840 リングの間、ボーリングNo.C、G−A、No.@、D、D−A、Hの間などについて、トンネル直上の緩みの可能性を指摘し、No.Kより南側では問題はないとし、北側を緩みの可能性のある範囲として「地盤補修予定範囲」としています。一方、「引き続き調査し、補修地域を決定」するとしていますが、どんな調査を行うのでしょうか。住民の不安を取り除くためにもできる限り広く調査すべきです。

また、「エリア B」では地盤の緩みはなく、「今後常時監視し変動が生じたら対応する」「基本的には調査をしない」という姿勢です。しかし、その根拠は極めて薄弱です

調査報告がいう「再発防止」は、@掘削土砂を分離・沈降させない、閉塞させない措置、Aこれによって過剰な土砂取り込みを生じさせない、B万が一、閉塞が生じた場合に切羽を緩めない対応をする―ということで、言い換えれば「これまでは注意してこなかったので、今後気をつけてやります」と言うだけです。この姿勢は、沿線住民への対応でも同じです。周辺監視を強め、できるだけ説明する、問い合わせには「適切な対応」をし、不安を取り除く、という「精神論」が繰り返されています。事業者はこれまでも、同じ事を言ってきています。言葉だけでは信用できません。
(了)


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2021年03月04日

東京外環道の調布陥没・空洞調査報告(2021.2.12)と住民説明会(2021.2.14-15)についての声明

 外環ネット、東京外環道訴訟原告団・弁護団、他12団体は2月19日、「東京外環道の調布陥没・空洞調査報告(2021.2.12)と住民説明会(2021.2.14-15)についての声明」(別紙を含む)を公表し、「住宅街陥没!東京外環道路事業・工事の中止を求めます」署名の第1次提出行動において、赤羽一嘉国土交通大臣宛5,372筆、小池百合子東京都知事宛5,344筆の署名とあわせて、本声明を国土交通大臣および東京都知事に届けました。なお、NEXCO東日本社長及びNEXCO中日本社長宛に別途送付しました。
20210219_DaizinSeimei.JPG
声明を読み上げて国土交通省道路局高速道路課担当者に手渡す

 以下は声明文です。
 なお、(別紙)「事業者の姿勢と有識者委員会報告について私たちの見解」は別途掲載します。
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2021年2月19日


東京外環道の調布陥没・空洞調査報告(2021.2.12)と住民説明会(2021.2.14-15)についての声明


外環ネット
東京外環道訴訟原告団・弁護団他12団体


陥没・空洞事故は特殊地盤だから起きたもので、予測は不可能だった。今後は過剰な土砂取り 込みが起きないよう、再発防止を図る―。調布住宅地の陥没・空洞について、国交省、NEXCO東日本・中日本の事業者側による調査報告と、それに伴う記者会見、住民説明会について、私たちはその欺瞞性と無責任、不誠実な姿勢に、満身の怒りを込めて抗議します。

 今回の事態で、事業者側が求められていることは、私たちが何度も明らかにしてきたように、 既にこの事業と大深度法の論理は完全に崩壊していることを認め、直ちに私たちの主張を受け入れ、裁判での誤った抗弁をやめるとともに、東京外環道事業を中止し、憲法違反の大深度法を廃 止することです。もう、無理なのです。これ以上の被害と混乱を引き起こさないため、大局に立って、早急に事業の中止と大深度法廃止を打ち出すべきです。

事業者は2月12日、あたかも中立公正であるかのように装った、お手盛りの第6回「有識者委員会を開催し、調査結果等を発表しました。別紙の「事業者の姿勢と有識者委員会報告について私たちの見解」に明らかなように、大量の資料で、本当の問題点を隠しながら、この地域は特 殊な地盤で、陥没も空洞も予測できなかったとし、これを前提に自己の工事の過失を認めず、責 任の所在も曖昧にし続けています。

その結果、14,15日に行われた住民説明会では、「何となく掘ってしまった…」と発言した小泉淳委員長の言葉(12日)についての説明はおろか、「施工ミス」「過失責任」を認めるか、といった基本的な質問には答えず、「特殊な地盤というならなぜそれを調べなかったのか」という質問にも、「騒音、振動の被害の訴えがあったのに、なぜそれを放置したか」「地盤の緩みについては予測できたはずではないか」などといった質問にも、まともに答えようとしませんでした。

事業者が「加害者」であることは明白です。様々な「違反」や「瑕疵」があることが明らかなの に、誠意ある「謝罪」も「お詫び」の言葉もないまま、説明会を終わらせました。こうした責任回避に終始する姿勢は許されません。

事業者側は、このような事態を起こしながら、その被害地域を狭く限定し、被害住民はもちろんメディアも世論をも欺いて問題を「解決」するかのようにみせかけています。大泉・中央 JCTなど他地域でのシールドマシン掘進再開をもくろんでいます。

現地では事故後、事業者は住宅地の狭い道にダンプカーやミキサー車を持ち込み、作業員を常駐させ、見回りさせながら、「応急措置」と「調査」を行いました。しかし、そこでは、「なぜ、 ここで、何の調査をしているのか」「どんなデータが出ているのか」「何がわかったのか」「それでどうするのか」、といった住民の質問には全くといっていいほど答えてきませんでした。

ところが、今回の報告で明らかになったのは、「調査」は、陥没・空洞など目立った物理的被害があるところに限って行われ、住民の健康や生活にとって深刻で広範囲にわたる騒音、振動など については、その被害通報件数も内容も公表せず(一方、外環被害住民連絡会・調布の調査によると100軒を超える体感的被害)、その原因究明に全く触れず、さらに、施工ミスや住民の安全管理の欠如がなぜ起きたのかの原因究明にも触れず、恣意的で杜撰なものです。振動や騒音の苦情や抗議や悲鳴を「問い合わせ」と片付けてきた姿勢は、とても「住民に寄り添った」ものとはいえません。

さらに、沿線周辺の多くの住民が不安に思った「既に通った私の家の下には、空洞はないのか、 今後陥没は起きないのか」「これからトンネルが進む先の調査はどう行われるのか」―という疑問に明確な答えはありません。

報告の翌13日、福島県沖を震源とするM7.3の地震は、この地域にも震度4の揺れを起こしました。「埋め戻した空洞や緩んだ地盤に問題は起きていないか」「造られたトンネルに影響はないのか」―事業者はこれらを直ちに、詳細に調べ、沿線住民に報告すべきです。

住民に配布した「補償の方針」では、@建物等の損害は「原則として」「原状回復」A家賃減収相当額、不動産売却損、疾病等による治療費など―を「補償する」とし、「専門チームを設置し、 個別にお伺いし対応」するという姿勢を崩していません。公にはその基準を示さず、「査定は事業者がする」という姿勢で、被害者の会との団体交渉にも応じていません。加害者にあるまじき態度と言わざるを得ません。

もともとこの工事は、大深度法に基づき「地上には影響がない」「通常使われない大深度地下」 に限って、地上の住民には一切断りがなく行われている工事です。今回の事態は明らかに大深度法違反です。加えて、2本のトンネル間の離隔距離が狭く、国の技術指針違反です。また、20 0メートルごとに行うべきボーリング調査をやっていないことも問題です。このようにすべてを点検し直さないと前に進めない事業です。

国民がコロナ禍で苦しんでいる今、巨額の税金を使い一部の利益のため、既に不必要になったとしか思えない事業を、住民のいのちと暮らし、基本的人権をないがしろにして、推し進める必要がどこにあるのでしょうか。今こそ公共事業のあり方を総点検し、思い切った政策転換を図るべきです。

私たちはこの事業者の「頑なな事業推進の姿勢」にあくまで反対し、事業の中止、大深度法の 廃止を改めて求めます。

・外環ネット
・東京外環道訴訟原告団・弁護団
賛同団体(順不同)
・とめよう「外環の2」ねりまの会
・元関町一丁目町会外環対策委員会
・外環道検討委員会・杉並
・外環を考える武蔵野市民の会
・市民による外環道路問題連絡会・三鷹
・外環道路予定地・住民の会
・調布・外環沿線住民の会
・野川べりの会
・外環道検討委員会
・外環いらない!世田谷の会
・東名JCT 近隣住民の会
・東京外環道訴訟を支える会

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2021年02月22日

「住宅街陥没!外環道事業・工事中止を求める」署名(計10716筆)と声明を国土交通大臣及び東京都知事に提出しました

 2020年10月18日に東京外環道工事の真上にあたる調布市東つつじヶ丘の住宅街で発生した巨大陥没事故を受けて、昨年11月から「住宅街陥没!東京外環道路事業・工事の中止を求めます」署名活動を行い、同日までに合計 10,716筆を集約しました。
 そして、2021年2月19日、その署名の第1次提出行動を以下のとおり行いました。
20210219_ShomeiDaizin5372Hole.JPG
国土交通大臣宛5,372筆、東京都知事宛5,344筆
20210219_ShomeiTochizi5344.JPG

●10時・・・ 赤羽一嘉国土交通大臣宛 5,372筆
20210219_ShomeiDaizinHandover.JPG
国土交通省道路局高速道路課 星野係長に
外環事業・工事中止署名5,372筆
20210219_Kokkosho3.JPG

●13時15分・ 小池百合子東京都知事宛 5,344筆
20210219_Tochou.JPG
東京都 武市敬副知事に
5,344筆の外環事業・工事中止署名を

●15時   国土交通記者会にて記者会見
20210219_Pressrelease2.JPG
20210219_SyomeiPress.jpg
報道発表資料(クリックすると拡大)
20210219_Pressrelease1.JPG

● また、同日外環ネット、東京外環道訴訟原告団・弁護団他12団体(計14団体)は、2月12日に開催された第6回 東京外環トンネル施工等検討委員会有識者委員会において確認された調査報告及び2月14日、15日に開催された被害地域の住民説明会についての「声明」を公表し、上記署名とあわせて国土交通大臣および東京都知事に届けました。
20210219_DaizinSeimei.JPG
声明文を読み上げて手渡す

東京外環道の調布陥没・空洞調査報告(2021.2.12)と住民説明会(2021.2.14-15)についての声明
(声明の別紙)「事業者の姿勢と有識者委員会報告について私たちの見解

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《新刊》『道路の現在と未来 ─道路全国連四十五年史』
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 住民は道路事業にどう抵抗し 何を勝ち取ってきたか 道路はどうあるべきかを提言
 
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2021年02月21日

朝日新聞2021年2月4日夕刊1面トップ記事についての見解

 外環ネットと東京外環道訴訟原告団・弁護団は連名で、2021年2月9日、「朝日新聞2021年2月4日夕刊1面トップ記事についての見解」をまとめ、朝日新聞社社会部宛に郵送するとともに、公表しました。

(参考1)2021.2.4 朝日新聞夕刊1面トップ記事
「地下40bの工事安全か 住宅街で道路陥没『想定外』 大深度リニアにも適用」
(参考2)2021.2.18 朝日新聞(社説)「地下工事で穴 過信を排し安全確保を」

 以下は、私たちの見解です。
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2021年2月9日

朝日新聞2021年2月4日夕刊1面トップ記事についての見解
外環ネット
 東京外環道訴訟原告団・弁護団


 朝日新聞は2月4日夕刊1面トップで、「地下40bの工事安全か 住宅街で道路陥没『想定外』 大深度リニアにも適用」との見出しで、調布市で起きた東京外環道トンネル直上の陥没、空洞発見問題について、リードのほか、本文134行、写真2枚、図表2枚豆解説つきの長大な記事を掲載しました。

 この問題に取り組んできた私たちは、この事故が大きく取り上げられ、広く議論の的となることを期待するものですが、この記事は、事実関係での明らかな誤りを含め、結局、国交省、東京都、NEXCO2社による事業者側の主張を紹介することに終始した一方的な記事といわざるを得ません。以下、事実に基づいて指摘し、朝日新聞が公正な立場で、読者・住民の側に立って、取材、報道されるよう求めるものです。

1:「想定外」であるわけがない

 私たちが第一に指摘しなければならないのは、記事は「住宅街で道路陥没『想定外』」の見出しにあるとおり、陥没事故が「想定外」だったとする「地盤工学の専門家」の発言をベースに展開されている、ということです。

 私たちは、既に裁判の最初から、というより、2014年に東京外環道事業の大深度地下使用認可に対して異議を申し立てた当初から、他の工事の事例などを含めて、こうした事態が起こる危険性を指摘し続けてきました。最も直近の事例は、2020年6月の相鉄・東急直通線の新横浜トンネル工事直上の道路陥没で、類似の地層です。しかし、事業者側はこうした問題提起を一顧だにせず工事を強行し続け、この事態が起きたのです。

 朝日新聞はその事実を十分知っていたにも拘わらず、それを無視し、「ある地盤工学の専門家」なる者に、「想定外だった」と語らせ、「驚いた」と報じています。私たちに言わせれば、その専門家は、余りにも事実を知らなさすぎますし、まさか談話が「ねつ造」だとは考えたくはありませんが、この問題は、それが記事のベースになっているだけに看過できません。「ある地盤工学の専門家」なる方はどなたでしょうか。

 事故が「想定外」だったかどうかは、陥没について事業者の過失責任の程度の判定に関わる重大な問題です。

 今回の陥没は、一般の道路陥没とは異なり、私たちが生活している住宅の真下で、しかも当事者に告知されないまま工事が行われた結果、突然起きたものであり、侵さざるものとして認められた財産権、自己に関わる情報を知る権利、健康で文化的な生活を保障した生存権、人格権をも侵す基本的人権の重大な侵害事件であり、工事の目的である「公共の福祉」に寄与するどころか、公共事業に対する国民の信頼を根本から破壊するものです。

 この記事はリードに「安全か」と書きながら、その「危険性」と「問題性」について、あまりにも通り一遍になっていないでしょうか。「安全」を強調する事業者の主張に対峙する「被害の実態」や「制度的な問題点」について、バランスを欠いているように思います。

2:地盤は「緩かった」のか、「緩くされた」のか?
   
さらに、記事は「NEXCO東日本関東支社によると、周辺の地盤が緩いことは把握していたものの、有識者委の調査で、その程度が想定以上だったと判明した」としていますが、これは、有識者委員会の報告を意識的に歪め、その責任を免れようとする事業者の宣伝に乗った認識だと考えざるをえません。

 今回の陥没のあと、事業者は陥没の周辺で慌ててボーリング調査を実施し、その過程で3つの空洞が発見されましたが、問題は、陥没以前のボーリング調査では、「緩い」地盤ではなかった事実です。

 この地域のボーリングは、約1100mの間に1本だけ、両端を含めて3本のボーリング調査が行われていたのですが、そのボーリングによると地盤は上総層群・東久留米層の砂層、一部礫層で、地盤の硬さや締まりの程度を評価する「N値」は50以上のしっかり固まった地層でした。そもそもN値50以上のしっかりした地盤でなかったとしたら、なぜそんな場所にトンネルを掘ることになったのでしょうか。

 この「しっかりした地盤」が、地下の工事によって、「ゆるゆるの地盤」にされてしまったということは、有識者委員会の調査でも明らかにされていることです。事実は「緩かった地盤」を掘削したために陥没が起きたのではなく、しっかりした地盤を掘削していたマシンが「工事の失敗」で、砂・礫を取り込みすぎて空隙が生じ、砂層の圧力が抜けて地表付近にまで地盤の緩みが生じ、陥没、空洞を生じさせたことが、事故後の調査で推測される状況になったのです。

記事はこの事実について、事業者側の意図的に前後を逆さにした説明を鵜呑みにしています。陥没があった地域については、一部で「もともと住宅地など作るべき場所ではなかった」との誤った報道がなされていましたが、陥没・空洞が起こった場所は「地盤の緩い」入間川の沖積地などではなく、かつて畑や牧草地だった台地の緩やかな傾斜地です。事業者は、あえてこれを曖昧にして、今回まだ掘削が行われていない北行コースの入間川沖積地と混同させているのです。

 しかもそれは、地表下5〜6bまでのことで、工事によって地下47bまでの地盤を緩めてしまったことについては、まったく触れていません。
また、記事のまとめでは、2人の地盤工学者が「工事関係者らの間で『大深度地下は安全』と過大に解釈されているところがある」と指摘しながら、結果的には、しっかり調査し、対策すれば工事を進められると結論しています。

しかし、地域の住民が、現在もゆるゆるにされた地盤の上で不安の中に生活していることにはまったく触れていません。もし、このような地盤の状態で大きな地震に襲われた時にどうなるのか、に想像が及ばないのでしょうか。

3:大深度地下法はメリットだけなのか? デメリットを書かない記事は一方的である

 私たちは、今回の記事が、陥没や被害を告発する記事でも、事業者側の発表や記者会見を伝える記事でもなく、夕刊1面を全面的に使って、いわば総括的に問題を伝えようとした記事だけに、多くの読者の認識を誤らせる危険を感じ、朝日新聞に改めて、問題を指摘しその報道姿勢をただしたいと考えました。

 記事は主見出しが「地下40bの工事安全か」とされているとおり、今回の陥没、空洞発見を機会に、大深度地下法について解説し、その問題点を指摘しようとした記事だと考えられます。ところが、記事では、「同法が適用されれば、首都圏、近畿圏、中部圏の3大都市圏で用地買収や住民に対する事前の補償が不要となり、直線に近いルートでのトンネル建設が可能になるなどのメリットがある」と書き、外環道のほかリニア新幹線、神戸市の送水管整備、大阪府の寝屋川北部地下河川の事業が認可されている、と報じ、「国交省のウェブサイトには、神戸市の事業で大深度地下の活用により工期を短縮でき、工事費も縮減できたとの記載がある」と紹介しています。

 しかし、残念なことに、この記事の中、あるいは併載された豆解説「大深度地下使用法」の中に、この法律の「デメリット」は一切書かれていません。それどころか、直線化できることがメリットとされているのに、外環道事業では高架計画をそのまま地下に降ろしたため、この地域では直線になっていないことを知っているのでしょうか。

 「1」でも指摘したように、大深度地下法とそれに基づく工事の結果、この事故が発生したことは、この法律と制度自体が大きな問題をはらんでいることを明らかにしました。問題になっているのは、その制度そのものであり、運用そのものであることをなぜ指摘できないのでしょうか。

 私たちは、大深度地下法については憲法違反(29条財産権ほか)の法律だと主張し、外環道事業については、大深度地下使用認可は無効であり、都市計画事業の承認、認可は違法であるとして2017年12月に東京地裁に訴え、署名運動も進めてきています。しかし、記事はこのことにはほとんど触れていません。記事で「メリット」と書かれているのは、事業者にとってはメリットでしょうが、そのまま住民にとってはデメリットです。記事は、そのことを無視し、前述の通り本来の「争点」である住民にとっての財産権、生存権、幸福追求権、知る権利などの基本的人権の侵害については全く触れられていません。

 豆解説についても、この記事が問題の全体像を書こうとしたものであれば、現段階での法律の問題点を指摘すべきです。「通常使われない」とか「地表に影響を与えない」といった大深度地下法の前提が「虚構」であったことが明らかになったことを指摘すべきです。

4:事業期間延伸訴訟は陥没の話で始まったのではない

 記事では、陥没の被害にふれたあとで「近隣住民らは昨年12月25日、今年3月までのトンネル工事期間の延長を認めないよう国と都に求め、東京地裁に提訴した」とし、あたかもこの提訴が陥没に端を発した話であるかのような印象を与えています。

 しかし、この点も正確ではありません。外環道の都市計画事業としての国の承認及び東京都の認可は、当初から「施行期間」を2021年3月31日までと定めて行われていたことから、そのままでは同日をもって自動的に工事はできなくなります。そこで、事業者は、近日中に事業施行期間の延伸の承認・認可を申請してくると予想されます。そこで、私たち2017年12月18日に東京地裁に提訴した東京外環道大深度地下使用認可無効確認等請求事件(以下「東京外環道訴訟」)の原告は、国と東京都に対し、上記施行期間の終了をもって本件事業を終了するよう、そのような施行期間延伸の承認・認可の差止訴訟を提起した次第です。これにより裁判所は、次の第10回口頭弁論(3月2日)では、従前の訴訟との併合手続を行い、これまで行ってきた双方の主張と証拠がそのまま引き継がれて審理が続けられることになります。

 これについては、昨年12月25日東京地裁の司法記者クラブにおける記者会見でも解説しており、私たちとしては正確な形で報道していただきたい問題です。

 総じて、この記事は、私たちが3年余にわたって取り組み、司法記者クラブ等の記者会見などでそのことをお伝えしている訴訟について、きちんと触れられていません。こうした特集的記事を書かれる場合には、裁判の争点(事業の公共性、必要性、事業費、施行期間、環境影響評価、説明責任等)を抜きに論じられることではないように思います。

5:被害者と被害の実態についての報道が乏しい

 言うまでもなく、今回の陥没は、当初は「因果関係があるかどうかわからない」と言っていた事業者が、昨年12月18日の中間報告公表時に「何らかの影響があったと認めざるを得ない」というところまで、事実関係が明らかになった事件です。

 朝日新聞は事故後、むさしの版などの地方版では被害の実態や事業者の住民説明会などについて丁寧に取材しています。

 しかし、そうした積み重ねがあるにもかかわらず、この記事では、「工事」についての報道に終始し、その被害の持つ深刻さや被害を引き起こした事業者の倫理観や能力の欠如、そしてその背後にある大深度地下法の違憲性について触れようとしていません。

 考えてみてください。朝日新聞は、なぜ、こうした記事を書かなければならなかったのでしょうか。それは、まさに陥没事故が起きてしまったからであり、これによって住民の生活基盤が破壊され、振動・騒音、住宅破損、そしてPTSD・低周波音症候群などの健康被害が発生し、それが問題になっているからではないでしょうか。

住民の健康被害についても、事業者が何らかの対応をすべきですが、これについては原因究明の検討さえも行われていません。トンネルの上に住む住民を実験台にし、その基本的人権を侵害していることについて事業者には反省がありません。

 朝日新聞は工事のメリットを強調する事業者に対して、被害の実態を突きつけ、「これをどうするんだ?」と問いかけてこそ、読者の側にたつジャーナリズムではないでしょうか。
地方版で、その実態が伝えられているだけに、この特集記事でそれがほとんどなかったのは、あまりに一方的ではないか、と考えます。

6:リニア問題への言及はこれでよかったのか

記事は、「リニア新幹線でも同様の手法の工事が進められる予定だ。今回のような事故が起こりうるのか」とリードで書いて問題提起をしています。しかし、問題を掘り下げることなく、「少しでも懸念があればしっかり対策を講ずるべきだ」(稲積教授)とか、「十分にモニタリングしながら工事を進めるしかない」(風間教授)とか、「必要な対策をきちんと講じ、…住民に丁寧に説明したうえで、周囲の環境への影響がないことを確認しながら工事を進めていく」(JR東海)といった話で終わらせています。

しかし、私たちは、これまで耳にタコができるほど聞かされて来ました。その結果が今回の陥没事故です。リニア新幹線大深度直上の住民はこうした説明すらほとんど受けていないと聞いています。

今回の事故が起きて、リニア新幹線問題に取り組んでいる住民たちは、以前からの私たちの運動との交流に加え、多くの場所で反対の姿勢を一層固めています。

ところが記事は、「リニアでは、品川―名古屋間の286`のうち都市部の約50`が大深度地下工事の区間で、21年度に最深106bのトンネル工事を開始する予定」とし、国会での「適切に施工が行われれば、大深度地下で地盤沈下は生じない」とする事業者側の主張だけをとりあげており、これも一方的と言わざるをえません。

リニア新幹線は、当初から環境破壊、工事発生土、ウラン、水涸れ、電磁波の問題などが言われているほか、ルートには、日本を代表する糸魚川・静岡構造線や中央構造線をはじめ、多くの断層帯を横切るなどの問題があります。そのうえ、都市部では住宅の下を通るため、外環道と全く同様の問題が出されています。既に訴訟で争われているこうした問題について、記事は不思議なことに全く触れていません。

ご承知のように、東京外環道建設は、陥没事故以後、掘削のシールドマシンは、現在停止しています。しかし、マシン停止後も、周辺の小さな騒音、微振動があり、これは完成したトンネル内の作業の影響ではないかと確認や調査が求められている状況です。しかも調布市をはじめ、沿線各市区は「原因究明、再発防止策が図られるまで、シールドマシン工事を停止すること」を求めています。いま、外環道とリニア新幹線を同一に論じることはできないにしても、外環道で起きた問題をこのままに、リニア新幹線建設を進めていくことを認めていっていいのでしょうか。その意味で、リニア新幹線工事の推進を求めるかのような紙面作りには違和感を禁じ得ません。
 
7:朝日新聞の積極的なジャーナリズム活動を求めます

東京外環道問題は、1966年の都市計画決定以来、半世紀を超える論争的問題です。大深度地下法が登場して、以前の高架による計画は安易にそのまま地下に変更されました。さらに、社会経済の状況も大きく変化し、今必要なのは、計画そのものを見直すことです。ですから、この事故の報道に求められているのは、事故の実態から問題の本質に迫り、そうした議論を実りあるものにすることです。

 そして、「今回のような事故が起こりうる」とすれば、「それを止めるためにどうするか」は、ジャーナリズムが提起すべきことではないでしょうか。

 それは、事業者の言葉の真偽を判断することなく受け売りで記事にするのでなく、今回の陥没、空洞発見の持つ意味、認識から始まり、国策公共事業の本質や事業者の体質まで掘り下げないと、同様の事故の再発のお先棒を担ぐことにしかならないのではないでしょうか?

 改めて朝日新聞の真摯な報道と積極的な問題提起を期待します。
以上
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2021年02月02日

イベント情報(2021年2月〜3月)

外環関係その他のさまざまな動きの直近のお知らせです。

▲ 次のイベント情報(2021.4月〜)はこちら

*****2021年3月のイベント情報*****

●3月31日(水)外環道都市計画事業期間延伸承認・認可
2031年3月31日まで10年延伸。
◎令和3年3月31日官報(本紙 第463号)page9of32
国土交通省告示第272号
◎東京都公報増刊第42の2号  2021.3.31
東京都告示第436号の2

●3月30日(火)参議院法務委員会 山添拓議員質問
土地所有権は大深度地下に及ぶ
  陥没事故の原因と対策
  地盤補修、仮移転
  大深度法の前提「地上に影響は及ばない」?
地上に被害は所有権侵害
  ◎ https://www.youtube.com/watch?v=aIWhWxsnPT8
 
●3月20日(土)15時〜17時 オンライン講演会
 地面の陥没と「大深度地下法」
 講師 武内更一弁護士(虎ノ門合同法律事務所)
 主催:市民による外環道路問題連絡会・三鷹

 お問い合わせ TEL:090-1214-8044(小笠原)
 申込締切:3月16日(火)
 申込先 https://forms.gle/huzxX5pX1b1rKY546
 詳細はこちら(PDF)

●3月19日(金)有識者委員会第7回 陥没事故報告書
 16時 記者ブリーフィング


●3月19日(金)13時30分 東京地裁103号法廷 
 青梅街道インター事業認可取消訴訟第26回口頭弁論

 (*)施行期間延伸差止訴訟第1回口頭弁論も同じ期日

●3月16日(火)11時 東京地裁 
 東京外環道シールドトンネル工事差止仮処分第6回審尋


●3月2日(火)東京外環道訴訟第10回口頭弁論
15時開廷(*1)〜 東京地裁103号法廷

(*1)施行期間延伸差止訴訟第1回口頭弁論も同じ期日
 14:40 傍聴券抽選(三密対策で傍聴席約50席)
 (14:20〜構内建物入口外にて抽選券配布)
*弁論終了後、16:30〜報告集会
(衆議院第1議員会館地下大会議室)


*****2021年2月のイベント情報*****

● 2月19日(金)第1次署名提出行動提出行動
「住宅街陥没!外環道路事業・工事中止を求めます」署名 
(1)国交大臣宛署名提出行動(5372筆)
   10時〜 衆議院第1議員会館 第6会議室に移動 
(2)都知事宛署名提出行動(5344筆)
   13時15分〜30分 武市敬副知事 
(3)国土交通記者会にて記者会見
   15時〜


● 2月14日(日)〜15日(月)
      被害地域住民説明会


● 2月12日(金)第6回有識者委員会
      記者ブリーフィング


●2月4日(木)他 「地表面陥没事象における家屋補償等に関する相談窓口のご案内(2月)」
 
 ◆ 相談窓口
 ◇つつじケ丘児童館ホール(調布市西つつじヶ丘3-19-1)
  2月4日(木)   9:00〜12:00
  2月18日(木)  9:00〜12:00

 ◇金子地域福祉センター(調布市西つつじヶ丘4-43-3)
  2月8日(月)  14:00〜17:00
  2月20日(土) 18:00〜20:00
  2月24日(水) 18:00〜20:00
  2月27日(土)  9:00〜11:00

  対象者:陥没・空洞箇所周辺の居住者

 ◆ 専用フリーダイヤル
  NEXCO東日本 関東支社 東京外環工事事務所
  TEL:0800−170−6186(フリーダイヤル)
  受付時間:平日9:00〜17:30
  
   詳細は、ここをクリック(PDF)

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▼ 過去のイベント情報(2020.11月〜2021.1月)はこちら

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2021年01月26日

調布陥没事故「第3の空洞発見、東京外環事業中止を求める声明」を外環ネット他12団体が3事業者と東京都に送付

 2020年10月18日に調布陥没事故を起こしたシールド機の停止位置付近で2021年1月14日に第3の空洞を確認したとNEXCO東日本が発表しました。なお、1月22日空洞の充てん作業完了と発表。別紙:(陥没付近の地中空洞位置図)。

 このことを受けて、外環ネット他12団体は、1月25日付「第3の空洞発見にあたり、外環道事業の速やかな中止を求める声明」を国土交通大臣、東京都知事、NEXCO東日本代表取締役社長及びNEXCO中日本代表取締役社長あてに送付しました。

声明文と同声明の中で引用している別紙1、別紙2の(PDF)は以下をクリック。
〇第3空洞にあたっての声明(2021年1月25日)
〇別紙1:12月18日の中間報告に対する声明(2020年12月25日)
〇別紙2:中間報告への疑問点(2021年1月25日改版)

以下は声明文です。
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2021年1月25日

第3の空洞発見にあたり、外環道路事業の速やかな中止を求める声明

外環ネット他12団体

2021年1月14日、調布市東つつじヶ丘の南行シールド機停止位置付近でのボーリング調査Hにおいて新たな空洞が発見されたとNEXCO東日本が公表しました。
 地下16mに長さ10m、幅約4m、深さ約4mの巨大なものです。3事業者(国、NEXCO東日本及びNEXCO中日本)によって進められている東京外環道事業において、昨年10月18日の巨大陥没事故以降、11月3日、21日の巨大空洞の確認に続き4箇所目の深刻な地盤異常の確認です。

しかし、被害範囲の広がりや深刻さの全貌はまだ見えていません。
 地盤沈下は今現在も進行し、家屋被害等も拡大しています。地盤の緩みはトンネル上部から地表面に向かって徐々に進んでいると思われます。
 地盤の中ほどまで緩みが確認されたボーリング調査C地点の近くでは、10月18日以降も住宅の塀の亀裂の拡大、ガス漏れ事故発生などの異変が相次いでいます。
 東側の地域でも地盤沈下による家屋の亀裂が進行しているとの報告があります。ルート上の南側の地域(12月9日のガス漏れ地点付近でボーリング調査I〜Mが行われている)でも地盤の緩みが懸念されます。まず、地盤の修復が急務です。

 また、広い範囲に振動等の被害があり、住民の健康被害(PTSD・低周波音症候群など)が今も続いています。
掘削工事は停止しているが、現在も進められているトンネル内部構築工事や稼働している機器に関する情報を事業者は開示せず、因果関係の調査に積極的ではありません。

 2020年12月25日外環沿線7区市の住民団体とそのネットワークである外環ネットは、12月18日に公表された、外環工事が陥没・空洞の一因であるとの中間報告にあたって、工事の中止・事業の見直し、大深度法の廃止、破壊された地盤の復旧を含む既に発生している被害と今後も出てくる被害の完全な賠償・補償を求めて、「東京外環・調布陥没事故中間報告に対する抗議声明」(別紙1)を出しました。

 また、同日あわせて「東京外環有識者委員会 調布陥没中間報告への疑問点」(別紙2)を出し、次のことを指摘しました。
事業者は、今回の陥没・空洞の原因を「特殊な地盤」と説明し、事前ボーリング調査の不十分さの反省がない。雑な施工・管理不足・データ不足で、「地上に影響を与えない」ことが確認されないまま施工している。大深度法、立体都市計画によって使用できる範囲を逸脱している。住民無視の対応、工事再開を急ぐ姿勢等が問題であること、です。

 沿線住民にとって最大のリスクは、地表面の住民を実験台にして、「掘ってみなければわからない」リスクのある工事を進めてきた事業者の工事優先、住民軽視の体質そのものにあると言わざるを得ません。

 トンネル工事の地表への影響・被害を懸念する住民に対し、事業者は、「地表への影響はない」、「シールド工事は安全」との「虚偽」説明を繰り返し
、地権者らに、その敷地のどこをどの深さでトンネルが通るかの説明もせず、工事を進めた結果が今回の陥没事故です。

 昨年8月から振動・騒音・低周波音に対する苦情が増加しても、9月中頃に地表面に家屋等に損傷が発生しても住民の悲鳴や工事中止の訴えに耳を貸さず、工事を続行し続けました。

 既に存在する住宅地の地下に後からトンネルを掘ったにもかかわらず、「リスク・ゼロを求めるならトンネルの上に住んではいけない」(12月18日有識者委員長)との発言に唖然とするばかりです。

 2020年9月3日に開かれた国土交通省関東地方整備局事業評価監視委員会で審議された東京外かく環状道路(関越〜東名)の再評価において、次の付帯意見「B事業進捗について、定期的に関係自治体と共有するなど引き続き事業の透明性を高めること、C事業の必要性や現場で行われている事業の工夫などを社会一般に知ってもらえるよう、わかりやすい情報発信を行うこと」がつけられました。

 しかしながら、現在進められている原因究明調査の計画・経過・結果が住民に詳しく説明されないことや、報道陣を締め出し、ごく一部の地域住民に限定する、昨年11月及び本年1月の住民説明会にみられるように、「隠蔽体質」は陥没事故以降もほとんど改善されていません。

 今回の事故に至る経過を真摯に反省せず、第3者委員会による公正で徹底的な原因究明を行なわず、地表の住民の安全で安心な生活を保障する代わりに工事の実験台にし、3事業者(国、NEXCO東日本・中日本)の「集団の無責任」を決め込み、「隠蔽体質」を保持し、情報公開を徹底せず、事業の透明性を高めず、社会への説明責任を果たさず、第3者チェックの働かない、民主国家の公共事業からかけ離れた親方日の丸の事業体質のまま、工事を再開しても同様の事故を繰り返すだけであり、事業延伸などましてや許されません。

 私たちは改めて、国、東京都、NEXCO東日本、NEXCO中日本に対し外環道事業の速やかな中止を求めます。 
以上
 

申し入れ団体(順不同)
・外環ネット
・外環道検討委員会
・外環道路予定地・住民の会
・市民による外環道路問題連絡会・三鷹
・東京外環道訴訟を支える会
・野川べりの会
・東名JCT近隣住民の会
・外環道検討委員会・杉並
・外環を考える武蔵野市民の会
・調布・外環沿線住民の会
・とめよう「外環の2」ねりまの会
・元関町一丁目町会外環対策委員会
・外環いらない!世田谷の会

連絡先: 省略
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2021年01月14日

外環ネット講演会開催(1月6日)「トンネル技術者が見た事故原因と大深度安全神話の虚構」

外環ネットは、12月18日のNEXCO東日本の外環調布陥没事故についての中間報告を受けて、1月6日武蔵野市南町コミセンにおいて、大塚正幸氏(元トンネル技術者)をお招きして講演会を開催しました。

演題は「外環道トンネル工事で相次ぐ地表陥没と地下空洞―トンネル技術者が見た事故原因と大深度安全神話の虚構」。
 大塚氏によれば、「流砂」(地下水で浸潤された砂が湧水と一緒に流れ出す現象)は、一見固く締まった(今回の上総層のような)地山でも介在砂層の中で発生することがある。今回の事故で着目される上総層は、関東平野に広く厚く分布する基盤層で、決して『特殊な地層』ではない。そして、外環道路の陥没事故の原因を次のように推察する。
 「上総層の地盤は安定した地中では固く支持力があるが、空隙が生じて水で流されると緩みが進行する性質がある。砂礫層に遭遇してシールド掘進が難航する間に地山から大量の土砂を取り込み、切羽前・上部の緩みが進行した。不十分な地質調査のために、シールド機の設計が適切でなく、地山の性状に即した適切な施行管理も疎かであった。堆積層からなる都市の地下40mは、支持地盤の下にあるから安全深度であるという認識は改めなければならない。
 また、大深度の特定範囲を深さだけで一義的に決める非科学性やN値だけで評価する誤りなど大深度法制の不備を指摘されました。

20210106_KanbotsuSeminar.JPG

 大塚氏に引き続き、早川芳夫氏(地理学専攻)が、中間報告のボーリング結果から、陥没・空洞周辺地域の地盤がどのように破壊されているかの分析を報告されました。
 「地層の緩みはトンネルに沿って、地表直下からトンネル直上まで広がっている可能性が大きい。少なくともBor. D A 地点から、Bor. C地点まで帯状に繫がっている。さらに、その南北方向への広がり、および東西方向の調査が必要。」と深さ方向の地盤の緩みの深刻さと、トンネルルート上(南北方向)と横(東西)方向への地盤緩み範囲の広がりの調査の必要性を指摘されました。

 コロナ禍にもかかわらず、参加者は約40名。質疑応答が活発に行われました。


 資料1「トンネル技術者が見た事故原因と大深度安全神話の虚構」ここ(PDF)
 資料2「地盤について(ボーリング結果の分析) 」ここ(PDF)
*資料は著作権があります。
 

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2021年01月04日

外環被害住民連絡会・調布が被害調査結果を公表

 2020年12月27日、外環被害住民連絡会・調布は、調布市教育会館における記者会見の席で、被害調査結果を公表しました。

集計結果によると
■ 被害軒数
● 構造物被害(家屋・外回り)= 58軒
*主な被害内容:室内(クロス)のヒビ 15件、ドア・床の傾き 19件、基礎部分の
亀裂 7件、塀・タイルの変状 17件、コンクリートのひび割れ 17件、段差の拡がり6件、
門扉の開閉不具合 5件 等

● 体感的被害(騒音・振動・低周波音等)= 102軒
*騒音・振動・低周波音等のうち、複数回答も「1」としてカウント。
*被害カテゴリー別:騒音 72件、振動 95件、低周波音 51件

資料1(集計結果)はここ(PDF)
資料2(シールドマシン停止位置)はここ(PDF)
資料3(被害者の声_自由記述)はここ(PDF)

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2020年12月30日

東京外環有識者委員会中間報告(12月18日)への疑問点

 12月18日NEXCO東日本は、調布陥没事故の中間報告を公表し、トンネル工事が陥没事故の原因であることを認めました、この中間報告には多くの疑問点があります
 外環ネットは、地質や技術/施工管理等に詳しい方の協力を得て、この中間報告についての疑問点を取り急ぎ集約し、12月25日に東京地裁の司法記者会での記者会見において配布するとともに、国土交通省、NEXCO東日本に手渡し、検討のうえ回答を準備するように求めました。

 以下は、中間報告への疑問点です。
 疑問点の詳細:別紙1〜4は(全文(PDF)はここ)
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2020年12月25日

東京外環 有識者委員会 調布陥没 中間報告への疑問点

外環ネット

12月18日、東日本高速道路株式会社は、トンネル施工等検討委員会有識者委員会を開き、中間報告を発表した。
シールドトンネル工事が、調布市市街地における「陥没・空洞発生の要因の一つである可能性が高いと推定されることを確認した」としている。
議事概要では、「周辺住民からの問い合わせ等に対し適切に対応する」とされていることから、私たちは、この日の記者ブリーフィングや公表された委員会資料に対する疑問・問題点を提示し、回答を求める準備をしている。
本日は、整理するまでには至っていないが、集まった疑問点等をそのまま別紙1〜4に列挙する。
大きな問題として、以下の点を上げておきたい。

★1 陥没・空洞発生した被害地域を、「特殊な地盤条件」としている。
・東久留米層(His)を「固くしまった砂」の均一層と判断し、ボーリング調査が不十分だった反省がない。
・礫層(Hig)(4m)の直下に砂と礫の互層(5m)がある事は、ボーリング調査から判明しているにもかかわらず注意を怠っている。
・陥没地点は、かつて入間川の蛇行による氾濫原であるという誤った認識。ここは台地の緩やかな谷地形(沖積層は存在しない)。

★2 雑な施工・管理不足・データ不足で、「地上に影響を与えない」ことが考慮されないまま施工している。
・「スケールデメリット」、口径が巨大化しているにもかかわらず、今までの施工例から±10%の基準で排土量の管理をしており、誤差が大きすぎる事を考慮していない。
・正確な排土量の計測値がないとして、取り込み過ぎを明確に認めていない。
・苦情があった時点で、シールドマシンを止めて原因の調査をすべきところ、夜間工事の停止時間を延長すること等でやりすごそうとした。

★3 大深度法、立体都市計画によって使用できる範囲を逸脱している。
・砂層の崩壊によって、トンネル直上までN値が一桁台を含む地層の緩みが達している。
・陥没孔・空洞直下の礫層(Mg)の陥没により、大深度から地上までが地盤破壊されている。

★4 住民無視の対応、工事再開を急ぐ姿勢。
・限られた住民対象の説明会でマスコミの取材も認めない等、説明責任の放棄。
・住宅地の道路等を占拠した原因調査の説明が住民にほとんどされない。
・シールドマシン停止で1日あたり億円単位の損との発言。
・この地域以外の「特殊地盤」でないところでは動かしても良いとの発言。
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2020年12月29日

「東京外環・調布陥没事故中間報告に対する抗議声明」と疑問点文書を外環ネット他12団体が国交省とNEXCO東日本に手渡す

 12月18日NEXCO東日本は調布陥没事故の中間報告を公表し、陥没事故はトンネル工事が原因であると認め、謝罪しました。これを受けて、2020年12月25日外環ネット他12団体は、「東京外環・調布陥没事故中間報告に対する抗議声明」を発表し、同日国土交通省及びNEXCO東日本を訪問し、読み上げて手渡しました(東京都及びNEXCO中日本には郵送)。
 また、併せて「東京外環有識者委員会 中間報告への疑問点 」(今後このブログに掲載予定)を手渡しました。

(1) 12月25日(金)午後、東京外環道訴訟の延伸差止訴訟提訴の記者会見において、中間報告についての抗議声明と疑問点文書を報道関係者に配布しました。

(2) 同日記者会見終了後、国土交通省を訪れ、道路局高速道路課係長星野龍一郎氏に声明を読み上げて提出。併せて18日に公表された陥没事故の中間報告の内容に関する疑問点も提出し、回答時期の設定を求めました。
また、現在続けている「住宅地陥没!東京外環道事業・工事の中止」署名の提出を1月に行うことについても通告しました。
20201225_SeimeiToKuni.jpg
写真:国土交通省道路局高速道路課(左)、外環ネット(右)

(3) 続いてNEXCO東日本本社を訪れ、建設事業本部建設事業統括課丸山耕治、同資産管理課有川達哉両氏に、同じく声明を読み上げ、さらに質問事項の主要項目を読み、現場がいかに住民不在か、説明責任が果たされていないかを話し、取り組み姿勢を改めるよう求めました。
丸山氏は、社長にも、現場にも我々の主張を伝えると回答しました。
20201225_SeimeiToNEXCO-E.jpg
写真:外環ネット(左)、NEXCO東日本(右)

 以下はその声明文です。

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2020年12月25日

東京外環・調布陥没事故中間報告に対する抗議声明

外環ネット他12団体


 2020年10月18日、東京外かく環状道路(以下「東京外環」)トンネル工事現場真上の調布市の住宅地で陥没事故が発生し、その後相次いで巨大な空洞が発見されました。2カ月後の12月18日、東日本高速道路株式会社(以下「NEXCO東日本」)は、トンネル工事が陥没の原因であることを認め、被害の賠償に応ずることを明らかにしました。

外環ネットは、東京外環沿線7区市の住民団体のネットワークです。私たちは、国および東京都、そしてNEXCO東日本、NEXCO中日本に対し、これ以上の犠牲を出さず、無駄なエネルギーと事業費を使うことがないよう、直ちに、杜撰で危険な東京外環事業・工事の中止と、憲法違反の悪法「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(以下「大深度法」)の廃止を改めて求めます。

東京外環計画は、1966年に策定されましたが、住民の強い反対により凍結されました。
その後、国は用地買収をせずに道路建設したいとの「姑息」な発想から、土地所有権から使用権を切り離し、道路建設を可能にする大深度法を成立させました。「通常利用されない地下」「地上には影響を与えない」との理由で、住民の意思を一切無視する法律です。東京外環は、地権者の了解なく住宅地の地下に建設する事業として認可されました。ルートは高架での道路計画をそのまま引き写し、地盤、地歴、地下水などの調査が不十分な状態で建設が進められました。

「地上には影響はない」はずの工事で、気泡噴出に始まり、騒音・振動・低周波音と家屋損傷、液状化等の地盤変位、そして遂に人命に関わりかねない重大な陥没事故が起きました。日本経済新聞による衛星データの解析では、地盤沈下は3pにもなることが明らかになりました。これは、住民の苦情やマシン・トラブル発生時に慎重な調査・対応をすることなく工事を進めたために起こった人災にほかなりません。

事業者は地上での被害を想定しないまま、住民に無許可・無補償で工事を進めました。この間、事業者は事業実施に伴う住民の疑問や問題点指摘にまともに答えず、説明責任を果たしていません。その末に起こった今回の被害全てが、人権、財産権の侵害そのものです。このような理不尽なことが許されてはなりません。大深度の工事は地上に影響しない、シールド工事は安全などという「虚構」に基づいて進めてきた大深度地下トンネル計画の大前提は崩壊したのです。

事業者は、被害補償として「家屋の補修」に言及していますが、何よりも被害地の住民が求めているのは「地盤を元通りにしてほしい」ということです。亀裂を塗り込め空洞を充填しても、緩んだ地盤ではまた地盤変位が起こりえます。いつ崩れるかという不安・恐怖の中で暮らすことなどできません。

「掘ってみなければわからない」「地盤が悪い」という小泉淳東京外環トンネル施工等検討委員会有識者委員長の発言は、科学者として、技術者としての見識も何もかなぐり捨てた開き直りです。特殊な地盤であるなら事前に調査し対策が取られるべきでした。このような言葉で事業者の責任を回避しようとすることは、地上に居住する住民の存在をないがしろにする発言であり、許せません。そもそも第3者性のない委員会の「調査報告」は、やはり信頼できないことを明確に示すものです。

さらに、もう1本の北行トンネル工事が問題です。陥没地点の700mほど手前で停止している北行シールドマシンは、緩んだ特殊な地盤、既に地盤沈下・液状化を起こした地域を掘削します。さらなる被害が重なる恐れがあり、もはやこれ以上の人権、生活権、所有権侵害行為は許されません。

似たような地盤、様々な地層が交互にある互層はこれから掘削予定の地域にもあることがわかっています。本線シールドだけでなく、ランプシールド工事においても同じ問題が発生する可能性は大きいのです。さらに、「世界最大級の難工事」と事業者自身が認める地中拡幅部の工事も同様です。

陥没・空洞どころか家屋のひびなどの損傷、健康被害なども一切起こさないよう、十分な調査に基づく万全な再発防止策を立て、計画地上の地権者及びその周辺の住民の了解を得たうえでなければ工事再開などありえません。安全確保を保証し、希望があれば買い取り、被害を未然に防ぐ対応を求めます。

住民は、3年前に大深度地下使用認可および都市計画事業承認・認可の無効確認等を求めて提訴し、本年5月には気泡シールド工事差止仮処分を申し立て、さらに本日、2021年3月31日で事業期間が終了する都市計画事業の延伸差止訴訟を起こしました。

国・都、事業者に対する働きかけに加え、法廷での弁論を通して、わたしたち外環ネット他12団体は以上に述べた様々な東京外環事業の問題点を明らかにし、沿線住民の生活、いのち、財産権を守って行きたいと考えています。

そのため、私たちは、国、東京都、NEXCO東日本、NEXCO中日本に対し下記のことを求めます。


1 「地上に影響がない」とした大深度法の前提が崩れているのですから、東京外かく環状道路工事を中止し、事業の廃止を含めた見直しを早急に行うこと。

2 「地上に影響がない」との前提が非現実的である大深度法の違憲性を認め、同法を廃止すること。

3 現状発生した被害は、希望により買い取り及び地盤復旧等を含めすべて賠償・補償すること。

4 今後露見するであろうさらなる被害に対しても、完全なる賠償・補償を行うこと。

以上


申し入れ団体(順不同)13団体
・外環ネット/・外環道検討委員会/・外環道路予定地・住民の会/・市民による外環道路問題連絡会・三鷹/
・野川べりの会/・東名JCT近隣住民の会/・外環道検討委員会・杉並/・外環を考える武蔵野市民の会/・調布・外環沿線住民の会/・とめよう「外環の2」ねりまの会/・元関町一丁目町会外環対策委員会/・外環いらない!世田谷の会/・東京外環道訴訟を支える会

問合せ先: 省略

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